認知症の母が同じものを何度も買ってしまうワケ 認知症の「なぜ?」がわかり、介護が楽になる

拡大
縮小
認知症になった家族を思わず責めてしまいそうになったら、一度落ち着いて「なぜそうしたのか?」に思いを馳せてみてください(画像:『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より/マンガ・中川いさみ)
この記事の画像を見る(3枚)
認知症の症状は、お天気と同じで晴れたり曇ったり。でも、ちょっとした接し方のコツで、どんよりとした曇り空を晴れに変えることもできます。そのために必要なのは、認知症の人の心の動きを知ることだと、理学療法士の川畑智さんは言います。川畑さんの著作『ボケ、のち晴れ 認知症の人とうまいこと生きるコツ』より、認知症の人の心の中ののぞき方と、「晴れ」に通じる接し方のコツを、一部抜粋してお届けいたします。

目の前で泣き崩れた50代の息子

「そうか、オレのために買うてきたとですね……」

50代の山本さんは、そう言って私の前で泣き崩れました。

山本さんのお母さんは、そのとき80代。

同じものを何度も買ってしまうなど、物忘れの症状が目立ってきたため、息子の山本さんと一緒に私の教室を訪ねてくれました。

そこで、簡易的に認知機能を測れる「ブレイン・チェック」を試してみたところ、認知症の疑いがあるという結果になったのです。

認知症になると、記憶をつかさどる脳の海馬の衰えから記憶障害が起きます。

なにを買ったかわからなくなったり、あいまいになったりして、同じ食材や食品で冷蔵庫がいっぱいになることがよくあります。

「同じものを買う」といっても、買うものは人それぞれ。

卵や牛乳、ヨーグルトなど食品ばかりを買ってくる方もいますし、トイレットペーパーや石鹸などの日用品ばかりを買ってくる方もいます。

山本さんのお母さんが決まって買ってくるものは、魚の練りものでした。

次ページ帰省して冷蔵庫を開けるたび、練りものが増えている
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT