気象庁によると、石川県能登地方では、2018年ごろから地震が増加傾向にあった。2020年12月には活動が活発化し、2023年5月ごろからさらに活発に。そして今年1月1日の大地震で地震の発生領域も広がったという。
つまり、地震は群発的に発生しており、またいつ大災害が起きないとも限らない状況だ。それでも村田製作所が北陸から撤退する考えはないという。上林部長はこう語る。
「地震をはじめとした災害のリスクは、北陸地方に限らず、どの拠点においても起こりうる。その中で部品メーカーとしての供給責任を果たすため、ムラタグループ全体としてBCP(事業継続計画)強化に努めていく。北陸地方の一員として、一日も早い復興を願うとともにできる限りの支援を進める方針だ」
根源にある創業者の言葉
その根源に生きているのが、創業者の言葉だ。「そこにムラタがあることが、地域の喜びであり、誇りでありたい」。五井氏は「この精神が従業員に根づいている」と強調する。
能登半島地震による工場の被災で同社が受けた損害は30億~50億円ほどと見込まれている。そんな状況下での多額の義援金の拠出は、同社なりの改めての決意表明なのだろう。
つねに地域と共に歩んでいく――。被災地が復興を遂げたとき、その輪の中には「muRata」の赤いロゴも以前と変わらず輝いているはずだ。
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