5億円の義援金を北陸に贈る「村田製作所」の胸中 能登半島地震の被災地は「事業発展の礎」だった

✎ 1〜 ✎ 22 ✎ 23 ✎ 24 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

気象庁によると、石川県能登地方では、2018年ごろから地震が増加傾向にあった。2020年12月には活動が活発化し、2023年5月ごろからさらに活発に。そして今年1月1日の大地震で地震の発生領域も広がったという。

つまり、地震は群発的に発生しており、またいつ大災害が起きないとも限らない状況だ。それでも村田製作所が北陸から撤退する考えはないという。上林部長はこう語る。

「地震をはじめとした災害のリスクは、北陸地方に限らず、どの拠点においても起こりうる。その中で部品メーカーとしての供給責任を果たすため、ムラタグループ全体としてBCP(事業継続計画)強化に努めていく。北陸地方の一員として、一日も早い復興を願うとともにできる限りの支援を進める方針だ」

根源にある創業者の言葉

その根源に生きているのが、創業者の言葉だ。「そこにムラタがあることが、地域の喜びであり、誇りでありたい」。五井氏は「この精神が従業員に根づいている」と強調する。

能登半島地震による工場の被災で同社が受けた損害は30億~50億円ほどと見込まれている。そんな状況下での多額の義援金の拠出は、同社なりの改めての決意表明なのだろう。

つねに地域と共に歩んでいく――。被災地が復興を遂げたとき、その輪の中には「muRata」の赤いロゴも以前と変わらず輝いているはずだ。

石川 陽一 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いしかわ よういち / Yoichi Ishikawa

1994年生まれ、石川県七尾市出身。2017年に早稲田大スポーツ科学部を卒業後、共同通信へ入社。事件や災害、原爆などを取材した後、2023年8月に東洋経済へ移籍。経済記者の道を歩み始める。著書に「いじめの聖域 キリスト教学校の闇に挑んだ両親の全記録」2022年文藝春秋刊=第54回大宅壮一ノンフィクション賞候補、第12回日本ジャーナリスト協会賞。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事