新日鐵出身の藤井康雄氏がトピー工業新社長に就任。「電炉の刷新は、タイミングの問題だと考えている」
自動車部品メーカーのトピー工業は7月1日、藤井康雄・新社長の就任会見を開いた。トピー工業は商用車のタイヤホイール、建設機械の履板で国内首位のシェアを誇る。一方で、愛知県豊橋市に自前の電気炉を持ち、素材から製品まで一貫生産する強みを持った部品メーカーだ。
藤井康雄・新社長はトピー工業の8代目の社長に当たるが、20%を出資する新日本製鐵の出身。1977年に新日鐵に入社、八幡製鉄所を中心に製造畑を歩んできた。堺製鉄所や八幡製鉄所、君津製鉄所の所長を歴任し、2011年4月にトピー工業に顧問として迎えられ、6月の株主総会で新社長に選任された。トピー工業が新日鐵から社長を迎えるのは、初代、5代目に続き3人目。
会見の場で藤井社長は、「中期経営計画の発表前で具体的な数字目標は避けるが、数年後には100億円以上の経常利益(前11年3月期は52億円)をコンスタントに出せる会社にしたい。そのためには、自動車と建機部門の海外展開、国内の不採算事業の再構築が2本柱となる」と述べた。
質問が集中したのは、電炉業界の再編や新日鐵との関係についてだった。日本の粗鋼生産約1億トンのうち、総量の8割を高炉メーカー5社で、残り2割を電炉メーカー40社で分け合う状況となっている。当然電炉メーカーの採算は厳しく、業界再編がいつ起きてもおかしくない、とささやかれてきた。
トピー工業が抱える最大の経営課題は、老朽化した電炉の刷新だ。そのため、トピー工業は新日鐵との関係強化の道を選び、08年に第三者割当増資を実施。新日鐵の出資比率が従来の7.5%から20%へ上昇、同社の持分法適用会社となった。トピー工業はこの増資で手にした50億円以上の現金で12年までに電炉の刷新を行う計画だったが、その議論そのものがリーマンショックで凍結。以来、3年の時間が流れた。
JFEグループは5月末に電炉事業の再編を発表したが、新日鐵・住金連合の動きはまだ見えない。その中で、この時期、新日鐵出身者がトピー工業の社長に就任したことから、グループとしての電炉事業再編とのつながりから注目が集まっている。
藤井新社長との主なやりとりは以下の通り。