新日鐵出身の藤井康雄氏がトピー工業新社長に就任。「電炉の刷新は、タイミングの問題だと考えている」
--スチール事業の今後はどうなるのか。
当社のポジションは特殊だ。当社では電炉で作った鋼材のうち、35%が社内向けだ。残りを?自動車や建機向けに供給している。そのことが当社が標榜する「ワンピースサイクル」という競争力の源泉になっている。電炉で鋼材を作るにしても、作り方が新日鐵とは全く違う。小ロット材で複雑な棒鋼材を作るのに効率的なレイアウトになっているなど、よい点がたくさんある。そういう分野を伸ばしていきたい。
現在、電炉は夜間操業だけでは必要量を作りきれず、電気代の高い昼間に操業して何とか生産を間に合わせている状態だ。この電炉の刷新については、いずれ結論を出す。適切な時期に、適切にやっていきたい。
--電炉業界の再編をどう見るか。
当社は電炉業界の中でも社内向けが多いという点で、他社とは少し違うポジションにある。当社が生産しているような製品を作れる会社は他にはなく、日本や世界でシェアトップの製品がごろごろしている。特に建設機械の足回り部品である履板は、世界シェアの5割を占めている。こうした製品を持っているため、電炉は必要であり、単純にどこか他社の電炉メーカーと一緒になることは考えていない。
最近、JFEが電炉事業の再編を発表した。大変勇気のある決断で、先駆者として立派だと思う。当社もしっかり経済合理性が成り立つ話があれば考えていくが、まずは新日鐵と住金の合併がどうなるか、そこを見極めてから、再編の議論が始まっていくだろう。トピーの電炉は独特な世界。合理的な方法は何かを検討していきたい。
--新日鐵との連携は。
新日鐵と住金の合併は現在進行中なので発言は控える。電炉業界がどうなるかは合併が決まった後の話になるだろう。新しい会社にはぜひトピーのユニークな立場を売り込み、うまく活用をお願いしていきたい。両社の連携関係については、08年に発表した以上の話は今のところはない。