「ストロング系」毎日10缶飲んでた私に起きた異変 悪いのはお酒か、自分の弱さか、コロナか…

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旧γGTPだと「1157」という数字なのだが、中島らもの『今夜、すべてのバーで』(講談社)にはこんな一節がある。

「生きてるのが不思議なくらいの数字だよ、これは。γGTPが1300だって……いったいどれくらい飲んだんだ」
「1本くらいですね」
「毎日かね」
「毎日です」
「それを何年くらい」
「18からですからね。17年くらいかな」

ちなみに、中島らもが入院したのは36歳のときであるが、当時の筆者はまだ29歳だった。医者からは「30代だったら肝硬変だったよ」という一言と「禁酒」を言い渡され、アルコール依存症の病院を紹介された。正直、「ようやく、この生活が終わる」と思って内心ホッとした。誰かに止めてほしかったのだ。

そして、アルコール依存症の病院で治療薬と睡眠薬をもらったのだが、「あれだけ飲んでいたのだから、アルコール依存症なんだろう」と思いきや、薬を飲み始めた翌日からスパッと酒への執着はなくなった。

ピタリと飲酒はやめられたが…

酔わない檸檬堂
仕事柄飲み会の機会も多いが、ノンアルコールを貫いている(筆者撮影)

そこから、1年半が経過したが、薬を飲み始めてから一度もストロング系はおろか酒を一滴も飲んでいない。

飲みたい気持ちも特にないが、これまでの生活がたたってか、今は毎晩350ml缶のアサヒのノンアルコールビール、サントリー「のんある晩酌 レモンサワー」、コカ・コーラ「よわない檸檬堂」、サントリー「ノンアルでワインの休日」の計4缶で睡眠薬を流し込むのが一日の楽しみである。

結局、なにかに依存していないと生きていけないというわけだ。

ここまで読んできてわかると思うが、もはや「ストロング系の危険性」というよりも、ただの「大酒飲みの顛末」というだけである。とはいえ、焼酎やウィスキーだとドクターストップがかかるまでに、もう少し時間がかかっていただろう。というのも、ストロング系のように「安価で手軽に」飲むことができないからだ。

前編でも述べた当たり前のことだが、「お酒は節度を守って楽しむもの」である。その量を筆者は大きく間違えたわけである。決して、ストロング系が悪いわけではないのだが、筆者のように元来の気質として、なにかに依存しがちなタイプがいることも事実だ。ストロング系をゲートウェイとして、誰しもがアルコールに溺れる可能性は十分にあることを覚えておいてほしい。

千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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