「敵に塩を送る」行為が"メリット"に働く意外な訳 大学受験を目前に控えた高校3年で学んだこと

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人は誰でも、心や気持ちが満たされていないと、人に優しくすることはできないものです。マスコミが芸能人の不倫を叩いているのを見て、一緒になってバッシングをしているのは、やはり気持ちが満たされていない人たちです。

「不倫はダメ」という正論を振りかざすことで、寂しい自分を慰めようとしても、それで自分が満たされることは永遠にありません。

自分をなぐさめるどころか、気がつけばムダな行動をしている自分を発見して自己嫌悪と向き合うことになり、不機嫌な状態が延々と続くことになります。

自分が満たされていないと感じるならば、他人を攻撃して憂さ晴らしをするのではなく、意識して人に優しく接するように心がけることが大切です。「情けは人の為ならず」という言葉の意味を思い出して、日ごろの言動を客観的に見つめ直すことが、自分の心を満たすことにつながります。

人に優しく、自分にも優しく

優しさには、相手の気持ちを優しくする効果もあります。

親が認知症になって介護をしている人に対して、私たち精神科医は、「叱るよりも、優しくしてあげたほうがトラブルは少ないですよ」とアドバイスしています。

どんなに怒りっぽくなったとしても、優しい言葉をかけてあげると、少なからず穏やかな気持ちになってくれます。

人に優しくすることは、自分のためだけではなく、相手のためでもあるのです。ムリな我慢をせずに、「人に優しく、自分にも優しく」を心がければ、自分の気持ちが満たされて、もっと人に優しくすることができます。

日常的に周囲の人たちと優しさのキャッチボールをしていけば、毎日を前向きな気持ちで過ごすことができます。

そうした繰り返しが、自分の人生を楽しいものにしてくれるのです。

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和田 秀樹 精神科医

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わだ ひでき / Hideki Wada

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、浴風会病院精神科医師を経て、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わる。『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『60歳からはやりたい放題』(扶桑社新書)、『老いたら好きに生きる』(毎日新聞出版)など著書多数。

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