松本人志不在の「M-1グランプリ」はどうなるのか 審査員になった経緯、若手漫才師に与えた影響

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お笑い第3世代と呼ばれる、とんねるず、ダウンタウン、ウッチャンナンチャンらはそんな時代の若きスターだった。とくに関西圏に住んでいなかった筆者のような視聴者にとって、もっとも後になって目にしたのがダウンタウンだ。景気のいい時代の終わりに登場した、どの組よりも話術に長けたコンビという印象が強かった。

第1回大会から関わる審査員は不在に

昨今、若手芸人に取材する中で「学生時代、YouTubeで『ガキの使い』のフリートークを見ていた」「子どもの頃、親の影響で『ごっつええ感じ』のDVDを見ていた」と耳にすることがままある。ダウンタウンが残したトークやネタは、若年層にとっての参考書になっているのだろう。

M-1に話を戻せば、2004年、2015年と松本が審査を担当しなかった年もあり、大会を継続させること自体は難しくないだろう。しかし、発起人の紳助や谷が大会に注いだ“志”を引き継ぐ者は不在になる。第1回大会から関わった漫才師の審査員は、松本をおいてほかにいないからだ。この先、松本が復帰しないことも想定される中、2024年はどのような形で大会を開催するのか。大会に携わる制作スタッフ、出演者、そして視聴者の意見も含めた議論が必要かもしれない。=敬称略=

鈴木 旭 ライター/お笑い研究家

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Akira Suzuki

2001年から東京を拠点にエモーショナル・ハードコア/ポストロックバンドのギターとして3年半活動。脱退後、制作会社で放送作家、個人で芸人コンビとの合同コント制作、トークライブのサポート、ネットラジオの構成・編集などの経験を経てライターに転向。現在、『withnews』『文春オンライン』『現代ビジネス』『FRIDAYデジタル』といったウェブ媒体、『週刊プレイボーイ』(集英社)などの紙媒体で記事執筆中。著書に著名人6名のインタビュー、番組スタッフの声、独自の考察をまとめた『志村けん論』(朝日新聞出版)がある。

 

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