紫式部が友達の人生相談に送る「心が晴れる言葉」 遠方に行くか悩む友達に、どうアドバイス?
そして、式部はそれを鋭敏に察知し「あなたが、ついていかずにとどまっていることなどないでしょう」と返したのではないでしょうか。
その式部の返しに、友達は「もみぢばを誘う嵐ははやけれど木のしたならでゆく心かは」と応答しています。紅葉の葉を誘う嵐というのは、夫の「ついてきてほしい」という激しい感情を表しています。
「木の下」というのは、友達の親元を指していると思われます。女友達は「あの人は一緒に行こうと激しく誘ってきます。でも、親元を離れて行くものですから」と返歌を寄越したのです。それに対する式部の返歌はありません。おそらく、返歌しなかったのでしょう。
的確なアドバイスをくれる紫式部
それはおそらく、女友達の「悩み」が解消されたからだと推測されます。式部の想像通り、女友達は夫について、遠国に行ったと思われます。式部は冷静に人の感情を読み取り、人生相談に対しても、的確な回答を歌に託しています。
きっぱりした性格だと言えるでしょうし、だからこそ、友達も式部に悩む気持ちを打ち明けたのではないでしょうか。「あの人ならば、何かよい回答をくれるに違いない」と。
(主要参考文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)
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