2浪阪大「物理学者の夢破れた」彼が歩む意外な道 ジャニーズ問題等の企業リスク扱う准教授に

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「もともと学ぶことは嫌いではなかったので、勉強を続けることができました。そのうち、自分の成績が悪いのは、頭が悪いのではなくて、いろんなことに興味を持つからなのではないかと思うようになったんですね。水がH2Oと言われても、ニュートンの運動3法則と言われても、周囲の生徒のようにそれを常識だと信じ込んで丸暗記するんじゃなくて、なんでそれが必要かを疑問に思い、突き詰めて考えるから時間がかかってしまう性質があるのだと気づいたんです」

「学校でやらないアインシュタインの相対性理論を自分で勉強していた」3年生当時の西山さんは、学校の勉強に加えて毎日4~5時間の勉強を自分に課します。この猛勉強により、偏差値は1~2年生時の45前後から52~53に上昇し、鳥取大学や島根大学の工学部でC判定くらいまでに上げることに成功しました。

センター試験の日にまさかの事態

劣等生から、地元の国立大学に受かるか受からないかのところまでたどり着いた西山さん。ところが、試験当日に思わぬアクシデントが襲います。

「センター試験の日に熱を出してしまったんです。それで、実力を出し切れずに50~55%程度しか得点できませんでした。2次試験も挽回する気持ちが起きず、志望校を落として地方の国公立大学を前期と後期で受けたのですが、落ちてしまいました」

こうして不運で終えた現役時の受験でしたが、本人的には不運以外にも考えさせられることがあったようで「自ら進んで浪人を決断した」と当時を振り返ります。

「やりきった感じがしませんでした。失敗に終わったセンター試験の後に、担任の先生に『ここなら受かる』と示してもらった安全圏の学校に進むことで自分の将来が決まってしまうのかと思うと複雑で、きっと後悔すると思ったんです。成績が上がっていましたし、自分はもっと上のところへ行けると信じていたので、浪人することへのためらいはありませんでした」

こうして西山さんは、鳥取城北高校の『専攻科』(※大手予備校が近くにない鳥取県内で行われていた、普通科の高等学校が浪人生を受け入れて授業の面倒を見る仕組み)に通い、浪人生活をスタートさせます。勉強だけに1日を費やせるようになった彼は、最初から鬼気迫る勢いで受験勉強に打ち込みます。

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