2浪目からは専攻科をやめ、自宅浪人で問題を1つひとつ突き詰める選択をした西山さん。この年も前年から変わらず1日15時間勉強の生活を続けました。
「大変でしたが、勉強することへの苦痛はなくなりました。京大の問題はものすごく頭を使うので、難しいクイズを解くような感覚があり、知識を身につける、学んで何かがわかる、という物事を積み上げる感覚が喜びに変わっていった期間でしたね」
1人で歯を食いしばって勉強していたため、「歯が曲がったんじゃないか」と思ったほどの過酷な浪人生活。
その甲斐もあり、偏差値も67~68に上がり、東大・京大もC判定が出るようになったと言います。センター試験(現:共通テスト)では前年と同じ790/900点程度を獲得した西山さんは、満を持して京都大学の理学部を受験しました。しかし、今回は万全の状態で臨み、実力を出し切ったものの落ちてしまいました。
「数学がとても難しくて、力負けを実感しました。試験が終わった後、前の席のガリ勉っぽくない普通の女の子が、自分が苦しんだ数学で『簡単だった』と言っているのを聞いて、全然(レベルが)違う人がいるんだと衝撃を受けました。『世の中にはすべてを得ている人がいるのに、なんで自分は一生懸命勉強しても、1つも欲しいものを得られないのか』と思って生きるようになりましたね……」
2浪目で大阪大学に合格した
しかし、捨てる神あれば拾う神あり。後期で出願した大阪大学工学部には合格できた西山さんは、なんとか2浪で、1浪目で第一志望に設定していた大学に入ることができました。
「ホッとしました。3浪しなかったのは、ここまでやってこの結果なら、多分自分の能力だとここまでなんだと思えたからですね。全力を尽くして体調をうまく管理しての結果なので、後悔はありません」
高校2年生から4年で偏差値を大きく上げた西山さん。
浪人してよかったことについては、「努力する習慣ができた」、頑張れた理由については、「いじめた人たちを見返したかったから」と答えてくれました。
「人生を勉強で打開するしかないと思ったときに物理学に出会えていなかったら、今のような人生は歩めなかったんだろうなと思います。自分にとっては当時、自分の置かれた環境の中で、最善の策を選んだつもりなので、浪人をした人生のほうが明らかによかったと思います。まったく後悔はしていません」
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