2浪阪大「物理学者の夢破れた」彼が歩む意外な道 ジャニーズ問題等の企業リスク扱う准教授に

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西山さんは1971年、鳥取県に生まれました。「幼稚園のときに両親が離婚してから母子家庭で育ちました。母は僕と姉を、飲食店の経営や、ミシンのセールスで育ててくれましたね」

「親族に大卒者が誰もいない環境だった」と語る西山さんは、公立小学校・中学校でもとりわけ勉強ができる子どもではなかったと語ります。「定期試験の前しか勉強してなかった」と語るように、中学校の中では、同級生45人中、30番くらいの順位だったそうです。

いったんは工業高校に進学して手に職をつけることも考えたそうですが、将来の選択肢が狭まることを考慮し、偏差値50程度の公立高校の普通科に進学します。そこでも勉強はあまりしなかったそうで、入試の成績で振り分けられた上位のクラスから、真ん中のクラスに落ちてしまいました。

この低空飛行の生活が一変したきっかけは、クラスでのいじめでした。

無理やり学級委員長にさせられた

「田舎だったためか、小学校からずっといじめの対象になっていたんです。自分自身が変わった子だったのもありますが、左利きだったことや、離婚した家庭であったことなど、ちょっとしたことでからかいの対象になったので嫌でしたね。

そうした仕打ちに我慢できなくなったのが高校2年生のときです。クラスの学級委員の投票をする日に学校を欠席したのですが、その際に無理やり学級委員長にさせられていたんです。

人との意思疎通が苦手な自分には向いていないことが誰の目にもわかりきっていたので、明らかないじめでした。それを母親に相談すると、『そんな高校やめたら?』と言ってくれたので楽になって、大検を取って大学に行こう、と覚悟を決めて1週間学校を休んだんです

その後、担任の先生が家まで説得にきてくれて、学校にもう一度通うようになります。学級委員の投票もやり直され、周囲のあからさまな嫌がらせも減ったようですが、学校が居心地の悪い場所であることには変わりなかった西山さんは、いったん大検の勉強を決意したこの一件で、自分の将来に目的意識を持ち、勉強にのめり込むようになります。

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