能登半島地震の甚大な被害はなぜ起きたのか 対岸の火事ではなく考えたい「立地のリスク」

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地震の規模

まずは、非常に大きな地震、強い揺れであったことが特徴的です。

兵庫県南部地震(震災名は阪神:淡路大震災)や熊本地震(本震)はマグニチュード7.3でしたので、能登半島地震のマグニチュード7.6と比較すると数字は0.3しか変わりません。

しかし、マグニチュードは1大きくなるとエネルギーは32倍も大きくなりますので、兵庫県南部地震や熊本地震(本震)よりエネルギーが約2.8倍も大きかった地震でした。

そのような近年でも有数の巨大な地震が、陸のすぐ近くの浅い地下で発生しました。沿岸部の海岸線85kmが隆起、最大3mも隆起するような桁違いのエネルギーにより、非常に大きな地震動が発生したことが、まず被害の原因として挙げられます。

地震波の特徴

かつ、防災科学技術研究所が公開するデータによると、輪島市などでは1.0~2.0秒の「やや短い」周期の地震波が襲っていました 。

このような地震動は「キラーパルス」とも呼ばれ、古い戸建て住宅、特に被災して耐震性能が落ちている住宅が被害を受けやすい地震波でした。地震自体の規模に加えて、地震波の特徴が被害を増加させた可能性も考えられます。

重なったさまざまな要因

能登地方の住宅事情

昨年調査を実施した珠洲市正院町付近の観察では、黒色の「能登瓦」の古い木造住宅も多く、珠洲市の住民の方によると、築60年以上という住宅も多いという状況でした。

1981年5月以前に建築確認申請を取得した住宅は「旧耐震基準」の住宅ですが、旧耐震基準またはそれ以前の古民家も多いとみられる地域で、新しい耐震基準の家が立ち並ぶ新規分譲された街などと比べて耐震性の低い住宅が多い傾向があります。

これまでの地震の繰り返しによるダメージ

概ね震度5弱程度以上の中規模の地震が起こると、特に耐震性の低い住宅においては、接合部の劣化などが進みやすいものと考えられます。

新耐震基準以降の住宅でも、基本的には「震度6強から7に達する程度の大規模地震でも人命に危害を及ぼすような倒壊等の被害は免れる」ことを求めているもので、そのような地震が繰り返し起こることは想定されていません。

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