能登半島地震の甚大な被害はなぜ起きたのか 対岸の火事ではなく考えたい「立地のリスク」

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能登地方では、先述の通り複数の地震、また群発地震(前震・本震・余震の区別がはっきりせず、ある地域に集中的に多数発生するような地震群)に見舞われており、これらの地震活動により家屋が既にダメージを受けていたことも、今回の地震被害につながった可能性が考えられるでしょう。

地盤の影響

地震波は通常、震源から地表に伝わるまでに地下構造の影響を受け、増幅されます。防災科学技術研究所が公開している「J-SHIS Map」では、地震波が深さ30メートルの地盤で何倍に拡大するかを示す「表層地盤増幅率」を確認できます。

例えば、海や川が運んだ低地の地盤からなる輪島市などを「J-SHIS Map」を見ると地盤増幅率が高く、地震時に揺れやすい地盤だとわかります。

そのため今回の地震でも、地域内で特に地盤が揺れやすい地点などがあった場合、地盤による地震動増幅による震度の増加や、地盤と家屋の共振による被害があった可能性も考えられます。

なお、昨年5月5日の能登半島を震源とする地震後の筆者らによる調査では、珠洲市の被害が大きかった地点では、被害の小さかった場所より揺れやすい地盤であったこと、また、既存住宅と共振しやすい周期特性を持った地盤の地域があったことが分かっています。

その他の家屋被害

■液状化による被害

新潟県新潟市の一部や、石川県内灘町の周辺など広い範囲で、地盤の液状化による著しい被害が生じています。

日本海側の平野には、潟湖(せきこ:湾口が砂の堆積などで閉塞され海の一部が閉じ込められてできた湖)や砂丘列があり、地域によっては液状化リスクが高い地域が含まれていることが影響すると考えられます。

それらの中には全壊、大規模半壊に相当するとみられる傾斜・沈下が生じている物件も含まれているとみられます。筆者が石川県内灘町の現地を調査したところ、それらの中には、現行耐震基準の住宅も含まれていました。地盤の液状化による被害は、耐震性能と関係ありませんので、耐震性向上で防ぐことはできません。

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