若者に人気「あいつら全員同窓会」どう英訳するか タイトルの英語訳を考えると語彙力が伸びる
ちなみにこの小説では、「人間失格」と同じような意味で、主人公のことを「欠陥製品」という言葉で表現しています。こちらは英語版だと「damaged goods」(=ダメージを受けた品物)と訳されていました。これも見方によっては、先ほどの「人間失格」に近い英訳かもしれませんね。少なくとも、先ほど挙げた「disqualification」よりは「それっぽい」と感じる人も多いでしょう。
一方で、実際に英語訳で売られている太宰治の「人間失格」は、ここまで出てきたどの表現とも違います。
その英語訳は「No longer human[もはや人間ではない]」です。
No longerで、「もはや〜ない」という意味になるわけですが、これが「人間失格」の正式な英訳タイトルになっているわけです。
確かに、「人間失格」の内容を考えてみると、自分は人でなしで、人間として間違っている、というニュアンスの書籍なので、「No longer human」はとても納得感のあるタイトル付けだと思います。「もはや」という表現は、すごくぴったりに感じませんか?
言葉を根本から理解することができる
このように、「その表現をどのように翻訳するか」という過程の中で、語彙力を磨くことができます。
翻訳するときには、まずその表現を芯の部分から理解する必要があります。その表現が持つ奥深さ、その言葉を選んだ意味などを理解したうえで、ほかの言語の中でぴったりくる言葉を探して、結びつけるという過程を辿らないと、きちんと翻訳することはできないのです。
みなさんがその言葉を根本から理解し、本当の語彙力を手にしたいと思うのであれば、翻訳してみることがおすすめです。
ぜひ、身の回りのものを翻訳する過程を通じて、語彙力を高めてもらえればと思います。
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