若者に人気「あいつら全員同窓会」どう英訳するか タイトルの英語訳を考えると語彙力が伸びる
「日本語の作品名が、英語だとなんと訳すのか」を考えると、その日本語の持つ意味・作品の持つ奥深さ、またはその表現に隠された意味などが見えてくることがあります。
「人間失格」。
ある男の転落人生を描く「人間失格」という小説は、その人間らしい葛藤や人間臭さから大きな評価を得ている文学作品です。読んだことはなくても、知っているという人がほとんどだと思います。でも、英語のタイトルは何かと聞かれると、答えが難しいですよね。
直訳しようとして辞書を使うと、「失格」は「disqualification」と出てきます。そのため、機械的に翻訳をするだけだと、「disqualification of human being」という訳になります。
しかし、これは正しいのでしょうか?
「disqualification」は、レースや試合などで出場する資格がない状態のことを指します。
「この試合に出るクオリティ(=資質)がない」という意味になるわけですが、それは本当に、小説「人間失格」のタイトルとしてふさわしいのでしょうか?
ただ日本語を英語にしたりするだけでは、意味が通らないのです。
本当の語彙力というのは、その言葉の持つニュアンスや背景を知って、それを深く解釈する力のことだと思います。
その意味で、「失格」=「disqualification」という語彙だけを知っていても、「語彙力がある」とは言えないのではないでしょうか。
もちろん、「失格」=「disqualification」を知っているという人は本当に素晴らしい、知識量のある人だとは思いますが、一方で「語彙力がある」というのとはやや違うと思うのです。
「失格」に込められた意味を考える
英語タイトルを考える際には、「人間失格」を解釈して、「失格」に込められた意味を理解しなければならないのではないでしょうか。
そう考えたときに、みなさんは、「人間失格」をどう訳しますか?
僕は小説家の西尾維新が好きで、西尾維新の小説「クビシメロマンチスト」では、「人間失格」と呼ばれるキャラクターが出てきます。
その小説が大好きな僕は英語版も持っているのですが、英語版ではそのキャラは「human failure」なんて言われていました。
「human failure」の、「failure」は「間違い」や「失敗」という意味があります。「human error」(=人的ミス)と同じようなニュアンスの言葉なので、実際に英語圏で使われるときには「機械などではなく、人の失敗」みたいな意味で使うのですが、ここでの場合はそういう意味ではなく、「失敗作の人間」みたいな意味合いだと思います。端的に表現されていてとても面白いですよね。
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