懸念される"災害ごみ処理"清掃職員削減の余波 不測の事態で浮き彫りになる清掃行政のあり方

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自治労(全日本自治団体労働組合)の調査によれば、1997年から2019年までの間に現業組合員数は約19.6万人から約6.8万人まで、約13万人も減少したと明らかにされている。東京23区の清掃の現場では、清掃行政が東京都から各特別区に移管された2000年に8,000人いた清掃職員が、現在では半分の4,000人程度の水準となっている。

比較的財政力のある自治体には清掃職員が残っているものの、地方の一般市や町村では現業部門を業務委託し、数名の事務職の職員が委託業者を管理して日常業務を回している。

また、行政改革では徹底的な効率化が推進され、人員削減のみならず、組織の統合や機材の削減も行われてきた。通常業務を遂行する機材も委託に頼る状況では、余剰の清掃車や平ボディートラックは存在しない。

このような状況にあるため、既存の体制から人員と機材を提供することは非常に難しく、支援を要請された地方自治体が人や機材をすぐに出せるのかと言えば、難しいというのが実情である。

2019年の台風15号は千葉県に甚大な被害をもたらしたが、支援を要請された23区の中には断念した区もあった。

能登半島の被災自治体が抱える厳しい現状

被災した地方自治体も同様に行政改革により現業職員を削減しており、地方自治体の手や足となり復旧に向けて現場で活躍する人材が存在せず、災害が起これば身動きがとれない状態で支援を待つしかないケースが多い。

また、行政改革により業務委託に切り替えた地方自治体の多くは業者に「丸投げ」しているところが多く、業務の実態が「ブラックボックス」化し、現場の実情も把握されずノウハウも蓄積されない。さらには委託業者を管理する担当者もそれら全てを吸い上げているわけではない。

不測の事態が生じた際に現場の実情を把握しているかが災害廃棄物の処理やひいては人命救助までを左右する要素となるが、それがなされていない状況の地方自治体は多く存在する。

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