町や村から聞こえる「厳しい」現実
――自治体システムの標準化に向けた作業が本格化する中、デジタル庁が3月上旬、期限である2025年度までのシステム移行が困難な自治体が1割に上ると公表しました。現場で何が起きているのでしょうか。
この国の行政システムが始まって以来の大事業であり、難事業だ。長い目で見ればシステムを変えるのはよいことで、みんな総論賛成だが、いくつか課題がある。「引っ越し期日」が決まってしまっているのが、簡単ではないところだ。
期限がないといつまでも移行できないから、そういう意味で締め切りを作ったのはよいことだと思う。ただ、都内のいろんな自治体の話を聞くと、現実的には「厳しい」という声が大きい。
一般的にどのプロジェクトも後ろに行けば行くほど大変になる。今からどんどん(期限内の移行が困難な自治体が)減るという楽観はしないほうがいい。
――都内の自治体からは、どのような声が多いのでしょうか。
例えば、町や村では公務員の定数すら満たせない状況で、これだけの大事業をやらなければいけない。1人しか「情シス」(※自治体の情報システムを担当する職員)がいない自治体もあり、だいたいが他業務と兼務でやっていると推測する。
周囲に相談もできなければ、(移行に必要な)膨大な文書を隅から隅まで読み込む余裕もない可能性がある。われわれが相談相手になったり情報提供したりしているが、62区市町村全部が情報技術に詳しい人材を採用するのは無理だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら