日本企業で「管理職」が名誉職になっている大問題 本来の仕事が果たせない原因にもなっている

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では、今のビジネスにおいて、何を最優先事項とすべきなのでしょうか。それは、「多くの人たちがハッピーになるにはどうすればいいか」を考えること。つまり、「社会貢献」です。法律に則ったうえで社会に貢献する。その際、社内の事情や業界の慣例は一切関係ないと考える。これが現代のビジネスなのです。

私は、これからの時代、1人ひとりのビジネスパーソンが「ビジネスは社会貢献」という視点から、自分の仕事に向き合う必要があると考えています。

これからの時代の「管理職」の仕事とは

ただし会社や組織という大きな器は、基本的にその社会貢献を最大化するために存在するので、「どのように社会に貢献していくか」をデザインするのは、経営者の仕事といえるでしょう。

それを達成するために実務を運用していくのがマネジャーの仕事で、そのために各タスクを実行していくのがプレイヤー(一般社員)の仕事、と整理ができます。

つまり、経営者は社会のニーズとビジネスの接点を、マネジャーは事業の仕組みや組織の内部構造を、そしてプレイヤーはもっとも解像度の高い現場(製造現場や顧客の反応)を見ている、ということになります。

これを私は、「経営の三層構造」といっています。この「経営の三層構造」をわかりやすく説明するため、スポーツカーという商品を扱う会社を例に挙げてみましょう。

まず、スポーツカーの社会貢献とは、顧客が「スポーティーに、楽しく走れる」こと。これが経営者の視点となります。さらに、自動車の基本性能が、スポーツカーにふさわしい形で実現できるように調整する。これがマネジャーの視点です。

そして、コーナーでのグリップやパワフルな加速など、それぞれのタスクレベルでスポーツカーの特性を実現する。これがプレイヤーの視点です。

この構造はどの職種においても変わりません。経営層が自社のビジネスを俯瞰して考える一方で、現場のプレイヤー層は自分の担当する製品やサービスの機能向上に集中しているため、どうしても俯瞰的な思考をする余裕を持ちづらくなります。

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