五輪談合「電通主導」の検察主張に漂う無理やり感 弁護側は組織委員会による「官製談合」を示唆
ただ、受注実績額の内訳を詳しく見ると、印象が変わってくる。例えば電通が指摘されている74億円の受注額には、選手などの輸送や暑さ対策、コロナ対策などの費用が含まれていると、弁護側はいう。
談合の規模は2つの点で重要だ。まず、公取や特捜部として事件を刑事事件化するかどうかに関わる。立件するかどうかの具体的な基準は明らかにしていないが、今回の事件で仮に一般入札の部分だけを対象にした場合、全体額は5億円前後。決して大きいとは言えない規模だ。
判決が確定した後に公表される課徴金の額にも影響がある。裁判で独占禁止法違反が認められれば、公取から課徴金の納付を命じられることになる。裁判での認定額が大きいほど、課徴金の額も大きくなりやすい。
電通以外にも否認が相次ぐ
幹部が逮捕されたり、法人として起訴されたことで、関係した広告代理店らは国や東京都などから相次いで指名停止の処分を受けている。
東洋経済は起訴内容の大部分を否定していることや、今後の応札方針などについて電通に問い合わせた。
電通は「現在、公判中であるため、個別のご質問に対する回答は差し控えさせて頂きますが、当社は、今回の事態を重く受け止め、徹底した再発防止に取り組んでおります」と回答した。
一連の談合事件では、森・元次長が起訴内容を認め、12月12日に懲役2年、執行猶予4年の有罪判決を受けた。しかし、森・元次長以外の被告は認否を留保したり、一部否認したりしている。
10月16日に初公判があった東急エージェンシーは電通と同様テスト大会の計画立案については争わないとしたものの、随意契約部分については認否を留保した。同日初公判だったセイムトゥーは談合全体を否認。同17日に公判があったセレスポも談合全体の成否を争う方針だ。
博報堂は11月20日の公判で起訴内容を大筋で認めたものの「独占禁止法違反に当たるか慎重に判断してほしい」と裁判所に注文をつけた。フジクリエイティブコーポレーションはまだ裁判が始まっていないが、起訴内容を否認する方針だと報じられている。
否認する被告会社が相次いだことで、今後の裁判は長期化が予想される。談合の範囲や組織委員会の関与を裁判所がどう認定するか。世紀の大プロジェクト東京オリ・パラが残した遺恨は深い。
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