「発達障害の子」が日々もっとラクに過ごすヒント 学校が「つらい場所」とならないようにできること

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一方、行動面の衝動性は、他の児童や家族に対する攻撃性となって見られることが多いです。普段はおとなしいADHDのお子さんが、些細なやりとりをきっかけにプツンとキレてしまい、相手の子どもに暴力を振るってしまうことがあります。

ADHDの子の場合、特に小学校低学年時などはイライラしやすいことが多く、比較的小さな引き金で怒りを爆発させることがあります。

情緒不安定で、その気分や行動は変わりやすく予想しにくいものです。

また、衝動性と欲求に対する充足を引き延ばせないことが特徴であり、事故や怪我が多発することもよく見られます。

ADHDの子どもに対して周囲はどのように接するべきか?

ADHDのお子さんが学校生活の中で悩む症状、および抱える問題についてそれぞれ解説してきました。

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症状や問題だけを読むと、「ADHDの人にとって学校生活はこんなに辛いのか?」という暗い気持ちになってしまいますよね。

でも安心してください。

大まかに、次のような対処法をご提案します。

行政レベルの対処法(もしくは提言)から、今日からできる具体的な工夫まで、さまざまな方策があります。

ADHDに対してパターン化されたマニュアルは存在していませんが、多くの場合、以下に示すポイントが必要な内容です。

1. 「子どもをほめること、自信をつけさせること」
失敗を指摘するよりも、できたこと、良かったところをほめてあげましょう。
長い説教や叱責は意味がありません。
2. 「強制しない」
力まかせによる強制や、威嚇して言うことを聞かせることは、本人が自身の誤認・ミスなどに気づくチャンスをつぶしてしまいます。
3. 「学習の環境を整える」
子どもがより良い条件で課題に取り組めるように、クラスなどの環境を変えていくことを試みましょう。
岩波 明 精神科医
いわなみ あきら / Akira Iwanami

1959 年、神奈川県生まれ。東京大学医学部卒業後、都立松沢病院などで臨床経験を積む。東京大学医学部精神医学教室助教授、埼玉医科大学准教授などを経て、2012 年より昭和大学医学部精神医学講座主任教授。2015 年より昭和大学附属烏山病院長を兼任、2024 年より昭和大学特任教授。ADHD 専門外来を担当。精神疾患の認知機能障害、発達障害の臨床研究などを主な研究分野としている。著書にベストセラーとなった『発達障害』(文春新書)のほか、『狂気という隣人 精神科医の現場報告』(新潮文庫)、『大人のADHD もっとも身近な発達障害』(ちくま新書)など。

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