「発達障害の子」が日々もっとラクに過ごすヒント 学校が「つらい場所」とならないようにできること
先生の側が「この子はこういう特性で……」という理解があり、常に何らかのサポートを行ったり、他のクラスメイトとの関係を上手にとりもつことができれば、「その子をクラスメイトの1人として迎えよう。違いとして尊重しよう」という空気が生まれるかもしれません。
ただ、先生方も忙しくて余裕がなく、発達障害に対する理解も十分とは言えないことが少なくないため、先生が「なんでできないの? どうしてみんなと一緒に行動しないの」と詰問するような姿勢になってしまうこともあるのです。
集団の中で自分の持ち分や役割を察知するのが苦手
ASDのお子さんは、全体の中で自分の持ち分や役割を察知するのが苦手な傾向があります。グループの中で役割分担して作業をすることができなかったり、1時間で10人が発表する場で、1人で何十分も発表してしまったり……といった具合です。
先生やクラスメイトが本人の特性を理解して、他のクラスメイトとの間の「仲介役」あるいは「調整役」の立場に立ってくれれば、もう少しよい結果になったと思います。
ASDのお子さんに接する学校関係者は、どのような方針で接すると良いのでしょうか?
まずは、ASDのお子さんの特性を知ることです。
キーパーソンとなるのが、そのお子さんと長く接している方々です。
1つは、ご両親や兄弟姉妹などのご家族。そしてもう1つは、ケアに関わってきた医療関係者です。
彼らからお子さんの情報、
つまり、
・どんなことが好きなのか?
・どんなことが嫌いなのか?
・どんな状況で不安になるのか?
・どんな状況で快適に過ごせるか?
・サポートのコツ
といったことを担任の先生が、できるだけ早い機会に聞いておくのが望ましいと考えます。
その際、医療関係者には、
・なぜそのような行動をとるのか?(症状の原因)
もわかりやすく教えてもらい、また親御さんには、
・お聞きしたことを学校関係者やクラスメイトと共有して良いか?
と尋ねておく必要があります。
ご家族と医療関係者に聞き取りをして子どもに関する情報を集めてから、学校の責任者(校長、教頭、学年主任など)と情報を共有し、さらにクラスメイトに正式な場(校長に立ち会ってもらう、保護者にも来てもらうなど)で伝え、理解や協力を求めるということも選択肢として考えられるでしょう。