子どもを生成AIを使いこなせるよう育てるには? 「AIに取って代わられる人」にならないために
そう考えると、「生成AIは何を聞いても一瞬で答えを出してくれる」と錯覚しがちですが、ユーザーが正誤を見極められない未知の知識や情報を調べるツールには実は適切ではないといえます。生成AIに「正解」を期待してはいけない。これが生成AIに対する正しい態度なのです。
そこで考えたいのが、高次思考的な生成AIの使い道です。端的にいえば、高次思考とは「正解のない問い」について考えることです。先の「第一次世界大戦は、いつ、いかなるきっかけで起こったのか」という問いには明確な正解があります。
「正解のない問題」を生成AIと共に考える
しかし、「戦争の是非とは?」「世界から戦争をなくす方法はないのか?」といった問いには、価値観や立場によって異なる意見がありうるので、絶対的な正解はありません。このように「正解のない問い」について考えなくてはいけない局面が、実社会では多々あります。
学校のテスト問題には、たいてい「正解」がありますが、社会に出たら「正解のある問い」のほうが圧倒的に少ない。「どんな商品が売れるか」といったビジネス的な問いから、「何をして生きていくか」といった人生の問いまで、ほとんどの問いには正解がないといってもいいくらいではないでしょうか。
つまり、実社会では「すでにある正解を出す力」よりも、「正解のない問いについて考え、自分なりの正解を導く力」のほうが重要である。その反映というべきか、大学の入試問題にも、「正解のない問い」について「自分なりに考えた正解」を述べる高次思考を試す問題が見られるようになっています。
高次思考的な生成AIの使い方を成功させるには、大きく3つの条件があると思います。
まずひとつめは、授業を主導する教師自身が高次思考をできること。学びにおいて、生徒は良くも悪くも教師の影響を強く受けます。学問に対する教師の姿勢が低次的であったり、課題解決に対する教師の姿勢が同調圧力的であったりしたら、生徒の多くもそうなってしまうでしょう。
逆に、もともと教師が高次的な思考をしていれば、自ずと高次思考的に生成AIを使うでしょうし、それを日常的に目にする生徒も同様の使い方をするはずです。
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