ホワイトハウスはその2カ月後、この4社がAIの安全性に関する自主的なコミットメントに合意したことを発表した。そこには第三者監督機関を通じて自社システムをテストすることなどが含まれるが、それらはすでにほとんどの企業が行っていることにすぎなかった。
5月にはEUのベステアー氏、アメリカのジーナ・レモンド商務長官、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官がスウェーデンのルーレオで会談し、デジタル政策での協力について話し合った。
「他国の緩い規制はあなたにも影響を及ぼす」
2日間にわたる協議の後、ベステアー氏は、ヨーロッパとアメリカがAIのリスクを予防するための共通の行動規範を「数週間以内に」公表すると発表した。ベステアー氏はこれを「負けが許されないレースにおける大きな一歩」と呼び、ブリュッセルにいる同僚たちにメッセージを送って、自身がこの協定についてソーシャルメディアにアップした投稿をシェアするよう頼んだ。
それから数カ月経っても共通の行動規範は発表されず、代わりにアメリカは独自のAIガイドラインを発表した。
AIに関する国際的な協力はまるで進んでいないのが現状だ。各国は経済競争と地政学的不信感から抜け出せずにおり、AIという国境のないテクノロジーに対して多くの国々は独自のルールを定めようとしている。
しかし、「他国の緩い規制はあなたにも影響を及ぼす」とインドのラジーブ・チャンドラセカール技術相は言い、アメリカのソーシャルメディア企業をめぐるルールの欠如が世界的な偽情報の波につながったと指摘した。
「こうしたテクノロジーの影響を受ける国々のほとんどは、政策を決める議論の場に参加できたことはなかった」とチャンドラセカール氏は言う。「AIは(これまでのテクノロジーよりも)管理するのが何倍も難しくなるだろう」。
(執筆:Adam Satariano記者、Cecilia Kang記者)
(C)2023 The New York Times
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