《日本激震!私の提言》財政運営全体を考える中で復興財源の議論をすべき--岩本康志・東京大学大学院教授

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 ただ、今年後半以降、数年かけて大規模な財政支出が行われることは間違いない。震災で被災地の資本ストックが失われ、サプライチェーンの寸断によって生産性も低下し、短期的には大きな負の供給ショックが起きた。サプライチェーンは回復してきているが、夏以降は電力の制約により、需給ギャップが縮まってくる。そこへ復旧・復興需要が出てくれば、需要が超過する局面もあるかもしれない。

景気の回復が鮮明になり、インフレ基調になったところで、消費税率の10%までの段階的な引き上げや、社会保険料控除を抑えることによる課税ベースの拡大などの税制改革によって社会保障費の手当てができれば、復興費用については、財政運営一般の中で60年償還ルールに組み込む余地が出てくる。そうなれば償還財源を別に議論する必要はない。

増税のマイナス面だけを見て景気への悪影響を心配することは、一面的な見方だ。仮に財政支出と同額の増税を行ったとしても、経済には増税によるマイナス効果よりも、財政支出によるプラス効果のほうが大きくなる。

--復興国債はほかの国債と区別したほうがいいのか。

区別する必要は感じない。復興事業を別会計として、そこの負債だということを明確にさせるのがいいという考え方があるが、別会計とする必然性はない。通常の国債よりも償還期間を短くするためともいわれるが、復興費だけ早期に償還することの意義も大きくない。低利か無利子にして、復興費用を購入者にいくばくか負担してもらうような商品を復興国債と称して販売する、というのはよい案だ。しかし、購入者は限られると思われ、復興財源のすべてを賄うのは無理だ。

原発賠償の政府案は電力自由化に逆行

--東京電力の福島第一原子力発電所の事故に伴う賠償問題について、政府案は国が東電に優先株や融資で資金援助を行い、長期間かけて賠償金を払わせるスキームとなっているが。

現在示されている政府案には、問題がある。

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