さて、その成長する人材紹介市場で、「求職者」と「求人企業」がマッチングに関する不満を口にするようになったのはなぜか。それは、人材紹介ビジネスの拡大に伴い、サービスを提供する会社の規模が急拡大し、その結果としてきめ細かいマッチング、すなわち
ハイタッチなサービス
ができなくなってきたからではないでしょうか。ここでいうハイタッチとは、取引先に喜んでもらえる献身的な姿勢のことです。たとえば、人材紹介であれば
こうした姿勢が人材紹介のマッチングを向上させるのは明らかです。ところが、規模が拡大した人材紹介会社はそうしたサービスを排除しています。求人ニーズは社内の検索システム任せ。
転職相談を受けるキャリアアドバイザー(CA)と会社の求人を預かるリクルーティングアドバイザー(RA)は分業化。CAは会社に訪問することはないので、システム上にアップした求人票以上の情報を持たないようになりました。
当然ながらRAが転職希望者と会うこともないので、
「その会社さんにはお勧めの人物だと説明していますが、直接本人と会ったことはないので、本当にそうかは言い切れません」
というのが実態になっています。
業界大手だからといって、きめ細かいサービスができているかというと、そうでもないのです。
ただ、規模が大きくなれば仕組み化を進め、サービスが画一化、標準化するのは常です。別の業界であれば《こだわりの店主がいる1店舗の居酒屋》が多店舗化すると《どの店でも同じ味が楽しめるチェーン居酒屋》に変わるようなことと同じです。
もしかしたら、かゆいところに手が届くハイタッチなサービスを求めるなら、大手よりも小規模なブティック型の人材紹介会社を選ぶべきなのかもしれません。ただ、大手も本音ではどう思っているのか。ハイタッチなサービスを永続的にあきらめて、不満の声に対処するつもりはないのか? 今後の取り組みに注目していきたいものです。
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