そもそも、人材紹介とは、厚生労働大臣の許可を受けて職業を紹介する、民間の職業紹介業のことを指します。企業から「求人」の依頼を受ける一方、転職を希望する人材から「登録」を受けて、それらをマッチングする仕組み。仲介の価値を手数料として収益を稼ぐビジネスモデルです。
ちなみに人材紹介市場は、2010年度以降、継続的に成長しています。その理由は企業の業績回復による求人ニーズの上昇に加えて、採用環境の変化にあると言われています。
2000年代初頭までの人材採用は、求人会社がメディアに掲載して応募を「待つ」のが基本でした。公募型と呼ばれ、リクルートを頂点にしたプレーヤー(事業会社)が大きくビジネスを拡大してきました。公募型のメディアの代表が書店の店頭に並んだ求人情報誌。その代表が『DODA(学生援護会)』『B-ing(リクルート)』でした。30代後半以降であれば、その名前に記憶があるのではないでしょうか。
そんな公募型のメディアから、人材紹介の活用へと採用戦略の切り替えが進んだのが2000年代初頭。求人広告をメディアに出稿しても
と成果が出ないケースが増加。その典型がエンジニアの採用でした。取材したシステム開発会社は(2000年代初頭に)エンジニア採用で求人情報誌に莫大な予算を出費。1人あたりの採用にかかる「採用単価」が400万円以上にまで上昇したといいます。
ここまで高騰すると、手数料を払っても採用を人材紹介にすべて切り替えたほうが「割安」と感じられるように。以後、公募型のメディアでエンジニア採用をすることはなくなったそうです。
また、面接をドタキャンする応募者も急増。具体的には、不動産業界の営業職採用などで「冷やかし的な応募」が増えていました。そうした応募に苦慮する事態になったのは、ネット型メディアが中心になり、応募者が手軽に転職先にエントリーできる時代になったからでもあります。
そんな不満を解消する手段として、人材紹介を活用する会社が増加しました。当方がリクルート社で人材紹介事業にかかわっていた2004年ごろは、情報誌に対する不満から人材紹介での採用にスイッチするパターンとして
・製薬業界のMR職
・第二新卒全般
・若手営業職
などが急増。事業部の売り上げが倍増したことを覚えています。こうしたトレンドは、現在も続いており、人材紹介市場は、前年度比111.5%の1450億円と成長を続けています(2014年度、矢野経済調べ)。
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