「底辺高校から同志社」バカにされ続けた彼の意地 「大学に進学すること自体が夢物語だった」

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そうした元々の長所に慢心することなく、11月にバイトをやめてからの3カ月は、追い上げのために1日11〜12時間の猛然とした追い込みを始めます。櫛山さんの勉強への姿勢を見て、最初は諦めることを促していた親も受験費用を負担してくれることになったそうです。

親の支援を受け、万全の体制で受験に臨んだ彼は、早稲田大学社会科学部・商学部と同志社大学商学部・文学部の計2大学4学部を受験。早稲田はダメだったものの、同志社大学は両方合格し、商学部に進学しました。

浪人 濱井正吾 同志社大学
櫛山さんが進学した同志社大学(写真: Higashi2017 / PIXTA)

「早稲田には合格できませんでしたが、自分なりにやりきった感がありました。それよりも周囲の方々がとても驚いてくれたのが印象に残っています。チューターの方には、『(櫛山さんが通っていた)大阪の高校から同志社に行くなんてありえないし、今までに聞いたことがない』と言ってもらいました。頑張ったねって褒めてくれたのがとても嬉しく、自信になりました」

こうして大阪の「底辺高校」から2浪の末に同志社大学に合格した櫛山さん。

彼に浪人してよかったことを聞くと、「無理だと言われた目標に向かい、結果を出せたこと」、頑張れた理由については「周囲を見返したかったから」と語ってくれました。

「困難に思える目標を打ち立てて、自分自身と戦って、ある程度の結果を出せたのは自信になりました。それがなかったら、つらい場面に直面したときに『自分ならできるから頑張ろう』とは現在のように思えていないと思います。結果を出すために長い時間勉強しましたが、絶対に通らないといけないと思っていたので、苦ではなかったです」

神戸大学に編入し、マスコミの仕事に就く

大学に入ったあとの櫛山さんは同志社大学の寮で経済学や政治学の本をたくさん読んでいたこともあり、3年次試験で神戸大学の経済学部に編入学。現在はマスコミ関係の仕事で校閲や編集をするかたわら、法律の資格を取るために、勉強を続けています。

「大学に入るまでは学歴を取ることが目的でしたが、今は勤務先での経験から法律に興味を持ち、資格試験の勉強を続けています。宅建に合格したので、行政書士や司法書士も受けて、時間はかかると思いますが、最終的には司法試験も目指したいと思っています。

思えば、資格試験に受かるまで頑張ろうと思えるのも、周囲に誰も理解者がいない中で浪人生活を頑張れたからだと思います」

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