「底辺高校から同志社」バカにされ続けた彼の意地 「大学に進学すること自体が夢物語だった」

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1浪目の受験でそれなりに頑張ったからこそ、大学生たちが自虐をするような環境は、彼にとってどうしても受け入れがたかったようです。

「夢物語みたいなことを言うな」と親にも見放された櫛山さんは、それでもなんとか受験をするために日雇いの引っ越しのアルバイトを始めます。

「11月くらいまで週3~4回働いていたのですが、つらかったですね。その中でもいちばん悲しかったのが、大阪大学の学生の引っ越しを手伝った日の出来事でした。仕事が終わって私が帰る際に、その阪大生が雨が降る中で丁寧に頭を下げてくださったのを見て、自分も同じくらいの歳なのに、全然人間の種類が違うんだなと思ってしまって、とても惨めでした」

とはいえ、櫛山さんの当時の取り組み自体は何ら悲観するものではありません。彼は2浪の生活を送る中で、頑張っているのに結果が出ていない危機感を誰よりも抱いていました。

そこで1浪目の失敗の要因をじっくり分析したところ、「反省せずにやみくもに勉強していた」ことが原因だったと気づいたそうです。

「2浪目の最初の1カ月で、徹底的に自己分析をしました。どうして自分がダメだったのかを考えたら、やはり英語ができなかったことだと思い、その内容も突き詰めると、基礎学力がなかったことがすべてだと思いました。

だからこそ、基礎の勉強法を徹底しようと思い、書店で『私の早慶大合格作戦』などの合格体験記が書いてある本を買いました。そこに書いてあった2浪して早稲田に受かった人の勉強法を参考にしながら、中学1年生の範囲から勉強をし直し、文法問題や中学校で使う辞典の内容は全部覚えました。基礎が身についてからは、早稲田の人間科学部で出題されるような短い英文をたくさん読むようになりました」

自分の長所に気がついた

「勉強時間が重要なのではなく、基礎をしっかり理解して進むことが重要」だと気づいた櫛山さん。プライドを捨て、自分自身の弱さに向き合った彼はこの年、快進撃を見せます。

8月に受けた早大入試プレでは英語の偏差値で67を叩き出しました。国語も偏差値65、日本史も偏差値81と、早稲田大学が射程圏に入る好成績を記録しました。

「私は大量の情報をインプットしても、それを短時間で処理できる性質だと気づいたんです。バイトをしているときなどの1日の勉強時間はわずか30分でしたが、短い時間に集中することが大事だと思っていたので、それを徹底することで成果が出たのだと思います」

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