「TV放送を食うサブスク」の頭打ちが続く納得事情 約220万台の視聴ログでわかった視聴者ニーズ

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また朝に絞れば、テレビ放送の視聴時間の81%がニュースとワイドショーである。朝の情報摂取に対するニーズに動画配信はまだ十分対応できていないことが、朝はまだまだテレビ放送の視聴が圧倒的である理由だろう。現在の動画配信サービスの多くは、テレビ視聴に対するニーズのとても狭い部分しか満たせていないのである。

このような動画配信の提供価値と視聴者ニーズのギャップの要因の1つは、動画配信の成り立ちにあるだろう。動画配信サービスはもともと、パソコンやスマホといった、一人で画面に向き合って利用することを前提としたデバイスで発達してきた。

食事や家事をしながらの「ながら視聴」、家族との「共視聴」、生活リズムをつくる「時計代わり」といったテレビ画面ならではの視聴形態から生まれる視聴者ニーズに、まだ多くの動画配信サービスは対応できていないのではないだろうか。

データから各配信サービスの対応領域を分析

では、これからの動画配信サービスはテレビ画面での視聴に対応してどのような変化が必要だろうか。ヒントとして注目されているのが、アメリカで普及が拡大している“FAST(Free ad-supported streaming television)”と呼ばれる配信形態だ。

従来のテレビ放送のようにチャンネルごとに定められた番組表に沿ってコンテンツが配信されることから、オンデマンド配信とは異なり膨大なコンテンツの中から見たいものを探し出す手間がいらないことがポイントだ。テレビ画面での「ながら視聴」に適していることから普及が拡大し、アメリカでは放送ネットワークや動画配信プラットフォーマー、テレビメーカーがこぞって独自のプラットフォームを提供している。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事