そのとき頭をよぎったのは「自死」の二文字だった。
「死ぬことまで考えるくらいなら、仕事を辞めようと思いました。でもなかなか辞めさせてくれなくて。それでも、もう腹を決めて“辞めます”と伝え、ようやく辞めることができましたが、家にいても悩むばかりでした。家は汚いし、片付けようと思ってもどこからやっていいのか本当にわからず、勇気を出してイーブイさんに電話をしたんです」
見積もりや片付けを通して、依頼者である女性と接してきた二見氏はこう話す。
「僕らに対して終始申し訳なさそうにしていました。“私みたいな人間が”と自分を卑下する場面もあり、自己肯定感の低さは否めませんでした。これはゴミ屋敷になってしまう人に共通して見られる特徴でもあります」
あえて言い換えるなら、セルフネグレクト。自分自身に対するケアを放棄してしまうといった状態だ。
子どものいるゴミ屋敷の家庭はあるが…
イーブイはこれまでもセルフネグレクトに陥った住人のゴミ屋敷の片付けをYouTubeで配信してきた。その中には今回の依頼者のように、子どもと同居している家庭もいくつかある。そのときに視聴者から決まって集まるのは、「セルフネグレクトではなくネグレクト(育児放棄)ではないか」といった指摘だ。ときには、「児童相談所に通報しろ」という意見も寄せられるという。だが、二見氏は一筋縄ではいかない実態を語る。
「家がゴミ屋敷というだけで、なぜネグレクトと簡単に言えるのでしょうか。シングルマザーのゴミ屋敷はいくつも見てきましたが、お子さんはみんな母親の愛情を感じていました。仮に第三者の勝手な判断で児童相談所に通報したとしたら、本人たちの意に反して親子が切り離されてしまうかもしれません」
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