カルビー、ポテトチップス「食感だけで10種」の裏側 北海道で見た、独自開発品種「ぽろしり」も凄かった
北海道の畑は広大だ。農家一戸あたりの栽培面積は、日本の他の地域の平均と比べれば約10倍。まさに桁違いという言葉がふさわしい。
ジャガイモ専用の収穫機に選別機、輸送用のトレーラーまですべてがビッグサイズ。これらがフル稼働し、満載のジャガイモが次から次へと貯蔵施設に集まってくる。7棟ある貯蔵庫の容量は約4万トン。貯蔵室は全42室あり、1室の容量はコンテナで750トン、バラ積みで1500トンにもなる。最盛期には1日で2000トンを受け入れる日もあるそうだ。
カルビーポテトでは同規模の貯蔵庫を道内に約40棟保有しており、北海道産については翌年の6月までカルビー工場への出荷が続く。
ひそかに開発されていた逆張りの貯蔵技術
温度と湿度が完全制御されている貯蔵室は、バスケットボールコートよりも広い。これが天井近く約5メートルの高さまでジャガイモで満たされている。室内は常時暗黒。担当者は基本的にヘッドライトの明かりだけを頼りに作業する。これも緑化による芋の品質低下を防ぐためだ。
最近の冷蔵庫の野菜室には、葉物類の鮮度保持のためにLEDが点灯する機能がついている。冷蔵庫でジャガイモを保存する際には、家でも緑化を防ぐために新聞紙などで包んだほうがよい。
生のジャガイモは生きている。いくら温度と湿度をコントロールしても、芋自体の変化を止めることはできない。保存期間が長くなればなるほど、果肉は柔らかくなるし糖度は高まっていく。芽の伸びも止め切ることはできない。温度を下げれば芽は伸びにくくなるのだが、そうすると糖分が早く増してしまう。
糖度が高まれば甘みが増すのだから、悪い話ではないように感じる。だが、ポテトチップスにとって一定レベル以上の糖度は、焦げの原因になり、あのおいしそうな揚げ色に仕上げられなくなるのだ。
青果であれば甘いジャガイモは誰にでも歓迎されるため、実際に糖度を高める取り組みもされている。ところがポテトチップス用では、ひそかにまったく逆の貯蔵管理技術が開発されていた。
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