カルビー、ポテトチップス「食感だけで10種」の裏側 北海道で見た、独自開発品種「ぽろしり」も凄かった

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対応してくれたのは、ポテトチップスチームブランドマネジャーの井上真里さん。井上さんの担当商品は、超定番「ポテトチップス」と「ア・ラ・ポテト」などだ。

「カルビーでは、2019年に食感バリエーションを打ち出しました。食のシーンが多様化するなかで、ポテトチップスに対するお客様のニーズも細分化して広がってきたからです」(井上さん)

こんなにもある食感バリエーション。現在販売していない商品も含む(画像提供:カルビー)

カルビーではポテトチップスだけでも約10種類の形状があり、それぞれの食感について公開している。

「平らにスライスしたフラットカットは、口に入れた瞬間に味を感じられてあと切れがよいのが特徴です。厚さは厚いほうが芋の味をより感じられます。また、かみしめる回数が多くなりますから、食べたという満足感も高まります。さらに断面がギザギザのV字カットでは、くぼみに味が残るために、最後までしっかり味を感じられるようになっています。定性調査でも、お客様が気分で商品を買い分けていらっしゃる傾向があることがわかっています」(井上さん)

たとえば同じ塩味だったとしても、フラットカットの場合はすぐに感じられてすぐに消えるように、V字カットであれば最後まで持続する味つけになっているという。

なるほど、同じフレーバー名やよく似た名称でも、異なる味覚設計があったのだ。たしかに、お腹がすいていると無意識に厚切りを選んでいたり、お酒のつまみには「堅あげポテト」を選んでしまっていたりする。

全体としては、いまは厚切りタイプの人気が高まっているのだそうだ。

新じゃがに対するこだわり

近年は、「新じゃが使用」を前面に打ち出すポテトチップスもよく見かける。新米、新じゃが、新たまねぎ。「新」とついただけで、なぜだかずっとおいしいもののような気になる食材がある。

が、料理ならともかく、ポテトチップスで新じゃがのおいしさを伝えることなど可能なのだろうか。

井上さんはこう解説する。

秋限定の『ア・ラ・ポテト』(写真提供:カルビー)

「カルビーでは秋限定の『ア・ラ・ポテト』が、新じゃがのみを使った商品になります。形は『ギザギザ』と同じ厚切りV字カットなのですが、北海道産の収穫したてのジャガイモを使っており、特別にてんさい糖を加えることで新じゃがらしさを感じられる味つけにしています」

北海道を意識させる3つのフレーバーのうち、一番気になるのは「羅臼昆布しょうゆ味」だ。なぜかこの商品のみ、「ぽろしり限定使用」「日本を愉しむ!」と表示されている。実はこんなところにも、カルビーのこだわりが詰め込まれている。

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