疑問だらけ羽生結弦さんの離婚騒動に欠けた視点 有名人、メディア、人々に求められる「線の引き方」

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また、近年では賀来賢人さんや福山雅治さんなどが怒りのコメントを発したこともあって、家族に関する報道は以前よりも減っていましたが、まだまだ十分とは言えません。子どもに限らず大人も含め、誘拐ほどでなくても、いじめや差別、いたずらなどの嫌がらせ、好奇の目にさらされるなどのリスクは高く、メディア側が自死という最悪のケースも想定しておかなければいけない時代に変わっています。

少なくとも有名人の家族や関係者に関する報道は、メディア自らが線を引いて自重することが求められているのは間違いないでしょう。加えて、今回のように、あるメディアが口火を切る形になっても、追随しない姿勢を見せてほしいところです。逆にそれができないメディアは、有名人との関係性が悪化するほか、世間の人々からの支持が得られなくなっていくのではないでしょうか。

報じるスキを与えた「非公表」

次に有名人自身のプライベートに関する発信について。

芸能人、アスリート、アーティストなどの表に出る活動をしている人、とりわけ入場料や会員費、物販、スポンサー収入などを得ている「プロ」は、やはりプライベートに関しても最低限の公表は必要でしょう。人気者であればなおのこと、公表することが今後のビジネスにつながるとともに、ファンを大切にし、自分と家族や関係者を守ることにつながっていきます。

羽生さんのケースでは結婚のみを公表したことで、かえって好奇心をあおり、ファンの動揺を生んでしまった感がありました。羽生さんはアイドルがそうするように「ファンにできるだけショックを与えたくないから、必要以上の情報やコメントを控える」という方法を選んだのではないでしょうか。

しかし、羽生さんのファンはアイドル以上に熱狂的な人が多いと言われていて、それを把握しているメディアが火に油を注ぐような記事を量産しました。結果的にですが、羽生さんがメディアにさまざまな記事を報じるスキを与えてしまう形になっていたのです。

しかし、最近はアイドルが結婚発表するときですら、相手のことや結婚生活に関するコメントをしてファンに理解を求めるような人も増えました。そのコメントは、「今後もプロとしてファンやメディアの恩恵を受けていきたい」「自分のファンを信頼している」という思いの表明になるとともに、「それもプロとしての仕事のうち」という考えからでしょう。

プロスケーターの羽生さんも、今後ファンやメディア、さらには世間の人々や企業の恩恵を受けていくのであれば、自身の活動を支持してもらうために、もう少しコメントがあってよかったのかもしれません。

相手や結婚生活に関するコメントをしたアイドルの中には、それによって一定のファン層を失いながらも、プライベートとのバランスを取りながら活動を続けている人たちがいます。羽生さんに関しては、自身のこだわりや美学などがあるのか。それとも、このようなアドバイスをする人がいなかったのか。真相はわかりませんが、線の引き方としては、理想論で押し通そうとしたような印象がありました。

ただそれでも、羽生さんの選択は決して否定されることではなく、自らの考えを貫くという生き方も尊重されるべきでしょう。

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