元引きこもりが「マッチョ×介護」で業界を変える 詐欺に遭い、借金400万円から起業の逆転人生

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実業団の選手たちは、トレーニング風景や介護施設で働く姿をSNSで発信している。その反響は大きく、「介護という仕事に勝手に抱いていたイメージが、ガラリと変わりました!」と多くの声が寄せられている。

「年々求人募集の応募数が増えており、昨年は年間300件程、今年は半年ですでに昨年の応募数を上回りました。SNSやHPで応募が集まるので求人広告などの採用コストは全くかかっていません。

現在の実業団メンバーは8名、2軍には20名ほどが在籍しています。学生さんからの問い合わせが多く、将来は弊社で学生大会を主催して優勝者にうちの実業団に入ってもらえるような流れを構想しています」

求人の応募数以外にも、「マッチョ×介護」のメリットは多いという。

「今の若い人たちはコミュニケーションに苦手意識があることが多い。『何を話せばいいかわからない』というのが主な理由です。しかしうちの会社では筋トレの話をすれば会話が成立します(笑)。実業団メンバーではないスタッフも福利厚生として提携フィットネスジムが無料で利用できるので、筋トレをしている人が非常に多いんです。共通の話題があるので、人付き合いにストレスを感じにくい環境だと思います。

職場の人間関係が良好だと、現職のスタッフが『一緒に働かない?』と友達に声をかけてくれるので、リファラル(紹介)採用が増えています」

(写真:ビジョナリー提供)

マッチョが介護に向いている理由

また、介護士は腰痛に悩まされることが非常に多いが、同社ではほとんど聞かれないという。

「トレーニングで最も重要なのはフォームです。トレーニーは、正しい姿勢で怪我をしないように体を動かすのが上手いんです。持ち上げるときに猫背だと怪我をしやすいのは、介護でもトレーニングでも同じ。スタッフ同士で『その姿勢だと危ないよ』と声を掛け合っています。介護士は体が資本ですから、コンテストに出場しない人でも日常的に体を鍛えたり、正しいフォームを覚えることは大切だと思います。

またコンテストでは、体が少し浮腫んでいるだけでも順位が下がってしまうので、選手たちは非常に細かい数値に注意をして体調管理をします。そのため、利用者さんの体調の細かい変化にも気づきやすいんです。顔色が悪い、浮腫んでいる、体重の増減などの見た目の変化に敏感なところも、マッチョが介護に向いているポイントです」

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