元引きこもりが「マッチョ×介護」で業界を変える 詐欺に遭い、借金400万円から起業の逆転人生

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同社が軌道に乗ったきっかけの1つが、障害者介護への進出だった。設立当初は男性スタッフの割合が高かったが、高齢の利用者は女性スタッフを希望することが多かった。

「なんとか男性スタッフの需要を見つけなければと思っていた時、地域の相談支援専門員から自閉症と知的障害のある20代の男性利用者の訪問介護のオファーがあったんです。自閉症の方全員が同じではないですが、その利用者はパニックに陥ると暴れることがあり、女性スタッフでは対抗できない状態でした。その方を受け入れ、10年ほどサポートを続けるなかで、『暴れてしまう利用者は丹羽のところに頼めばいい』という口コミが地域で広がっていきました」

障害者と、その家族の人生を支える役割

フィットネス実業団設立の理由の1つには、「マッチョな人材をもっとたくさん集めて障害者介護の担い手としてのポジションを獲得したい」という考えがあった。

「本当に困っている人たちがたくさんいるんです。暴れてしまう利用者の家庭を訪問すると、解体中なのかと思うような家がたくさんあります。ガラスが全部割られていたり、扉が外れて壁もボコボコ。そういう家庭を救うことで、『人生が変わりました』と言われるくらいご家族に感謝されます。うちのスタッフは『この子を見られるのは自分たちだけだ』と感じていると思います。

今の若い子たちは承認欲求から『自分でなければならない居場所』を探していることが多いと感じます。その意味でもやりがいや使命感を得られる、時代にマッチした仕事だと思っています」

今後の展望について丹羽氏はこう話す。

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「経済産業省が介護による経済損失が約9兆円に上ると試算したように、介護のために仕事を辞めたり、障害者の兄弟や姉妹などが介護のために学習の機会を奪われ、ヤングケアラーになるケースもあるのが今の日本です。

僕らが提供しているのは革新的なサービスではないけれど、陰ながらサポートすることで介護から解放され、才能を発揮できる人はたくさんいるはず。それが日本経済の発展に繋がると思っています。

介護サービスに頼ることを後ろめたく感じることなく、『介護はプロに任せるのが最善だよね』という世界観を作りたい。そのためにも『マッチョ×介護』で介護業界をさらに盛り上げ、頼られる存在になりたいと思っています」

都田ミツコ 編集者・ライター

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とだ みつこ / Mitsuko Toda

1982年生まれ。編集者・ライター。編集プロダクションでの勤務を経て、フリーランスに。

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