【独自】JAL現役パイロットが指摘「アルコール検査にすり抜け余地」、飲酒問題が「体調不良」に紛れ込む

「現在のアルコール検査の仕組みでは、パイロットの飲酒傾向を完全に把握することはできない」
そう打ち明けるのは日本航空(JAL)の現役パイロットだ。
JALでは近年、アルコール問題が頻発している。直近では2024年12月、オーストラリア・メルボルン発成田行き774便の機長と副機長が過度な飲酒をしたにもかかわらず、飲酒量を伏せて運航を強行。問題を把握した後も国土交通省への報告が遅れるなどし、JALは業務改善勧告を受けた。
勧告を受けたJALは、今年1月に再発防止策を策定。飲酒対策を含む安全確保に関する社内意識改革やパイロットの飲酒傾向管理のさらなる強化、アルコール検査体制の再構築などを進めていくとした。
しかし、現役パイロットの1人は対策が不十分だと指摘する。「体内に残っているアルコールが検知されても、体調不良という名目で欠勤できる。パイロットの状態を会社が正しく把握できているとは思えない」というのだ。
3つの検査は万全にみえるが
その指摘を理解するには、JALで行われているアルコール検査の仕組みを押さえておく必要がある。
パイロットは飛行機に搭乗する前に3回の検査を受ける。まず最初に受けるのが「出社前検査」だ。乗務当日の空港に移動する前、自宅や滞在しているホテルで会社から貸与されたアルコール検査機器を使って自ら行う。
検査機器をタブレット端末と接続して検査アプリを起動する。会社側はアプリを通じて、検査結果を把握する。顔認証で本人確認もされる。アルコールが検知された場合、会社に出勤してはならない。
2回目の検査は空港到着後の「事前検査」となる。立ち会い者の下、出社前検査で使った検査機器で行う。JALは出社前検査と事前検査を「業務時間外に行われる検査」とし、「パイロットが自己管理の一環として検査を実施している」と説明する。
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