なぜJALはパイロットの飲酒問題を繰り返すのか 意識改革ならず、再発防止策はまた機能せず
年末も押し迫った2024年12月29日、韓国内で発生した航空機事故としては史上最悪の179人が死亡する事故が起きた。さまざまな要因が重なっての惨事とみられるが、確定的な原因はまだ不明だ。が、バードストライク(鳥の航空機エンジンなどへの衝突)以降、チェジュ航空2216便の操縦席ではパイロットらが最後の瞬間まで一瞬たりとも気の抜けない状況に置かれていたことは想像に難くない。
緊急時、パイロットの瞬時の判断が大勢の乗客・乗員の命を左右することは言うまでもない。それだけに、パイロットは厳格な身体検査と技量審査を年2回以上受け、普段の生活でも規程の順守が厳しく求められる。だからこそ、平均年収も約1780万円(2024年賃金構造基本統計調査)と、全職種の中でも突出して高い。
ところが、パイロットをめぐる信じられない不祥事が日本航空(JAL)で発覚した。
パイロットが過剰飲酒で出発遅延、隠蔽も
2024年12月1日のオーストラリアのメルボルン発成田行きの774便でパイロット3人のうち機長(59)と副機長(56)が前日に過剰飲酒し、副機長は酒気帯び状態で出勤。アルコールが検知されなくなるまで空港で待機したことから出発が3時間以上遅れたというのだ。
滞在先の飲食店で注文した酒はスパークリングワイン1杯ずつとワイン3本。JALの規程(乗務12時間前の体内アルコール残存量が4ドリンク以下に自己制限)を上回っていた。機長は腹痛と偽って出勤を遅らせ、副機長はパイロットがそろって受けるはずの正式な検査を行わず、アルコールがゼロになるまで1人で自主検査を繰り返していた。
しかも、2人は口裏を合わせ、成田到着直後は「飲酒は赤ワイン1本」と申告し、過剰飲酒の隠蔽を図っていた。繰り返しヒアリングする中で3日、ようやく2人は事実を告白した。
国土交通省は12月27日、JAL社に対して「業務改善勧告」を出した。
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