JALパイロット飲酒問題で「遅すぎた初動」の裏側 問題の把握後に国交省への報告が遅れた理由
日本航空(JAL)で2024年12月に起きたパイロットの飲酒問題。JALが問題を把握してから、国土交通省へ報告をするまでの4日間の状況が東洋経済の取材で明らかになった。
国交省は12月27日、JALに対して業務改善勧告を行っている。勧告の中で「アルコール事案の報告が遅れた事実」を指摘している。
実は、鳥取三津子社長をはじめとした関係役員は、国交省へ報告すべき事案ではないと認識していた。経営幹部の安全意識が問われる事態となっている。
3日以内に国交省に報告する必要があった
飲酒問題は、12月1日のオーストラリア・メルボルン発成田行き774便の機長と副機長(ともに解雇処分済み)が起こした。
【1月23日15時55分追記】初出時の便名が誤っていたために修正します
乗務前日に過剰な飲酒をし、機長は腹痛と偽って出勤を遅らせ、副機長は酒気帯びで出勤した。そのうえ乗員がそろって受ける正式なアルコール検査を実施せず、副機長はアルコールが検知されなくなるまで1人で自主検査を繰り返していた。
自主検査を繰り返した結果、副機長のアルコール検知結果はゼロとなった。検査当初はアルコールが検知されていたわけだが、JALはそれを「誤検知」と判断、運航を強行した。便の出発は3時間遅れた。
機長と副機長は口裏合わせをして過剰飲酒の隠蔽を図っていた。だが12月3日になってようやく事実を告白し、問題が表面化した。
パイロットが酒気帯びで会社に出勤した場合、航空各社は事案の把握から原則3日以内に国交省へ報告することが航空法で義務づけられている。JALが機長らの過剰飲酒を把握したのは12月3日。12月5日までに国交省へ報告をするべきだったが、1日遅れて12月6日に報告をしていた。
12月4日、鳥取社長をはじめとした関係役員間で情報が共有される。
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