JALパイロット飲酒問題で「遅すぎた初動」の裏側 問題の把握後に国交省への報告が遅れた理由
本来であれば、過度な飲酒が発覚した時点で国交省へ報告をしなければならなかった。しかしJALの役員らは、「乗務前のアルコール検査がゼロだから問題ない」と判断していた。
事態が動いたのは12月5日。運航管理の最高幹部であるオペレーション本部の下口拓也本部長が、赤坂祐二会長に飲酒事案についての報告を行った。
赤坂会長は飲酒事案は国交省へ報告すべき事案だと認識し、報告を指示したという。赤坂会長は安全管理システムを管理する責任と権限を有する安全統括管理者を2019年から務めている。いわばJALの安全管理の責任者だ。
12月6日にも運航本部の南正樹本部長と安全推進本部の立花宗和本部長から同様の報告を受け、国交省への報告を再度指示。こうしてJALは、同日の夜に国交省に電話で飲酒事案に関する報告をするに至った。
安全統括管理者に即日伝わっていない
赤坂会長の指摘がなければ、国交省から業務改善勧告を受けた重大な不安全事象の報告がさらに遅れていた可能性があったわけだ。業界関係者は「アルコール事案は即日、安全統括管理者に報告が行くべき。対応が遅すぎる」と問題視する。
JALグループは2023年12月からの1年強で2回の業務改善勧告、1回の厳重注意を国交省から受けている。その原因の1つに本事案に象徴される経営幹部の安全意識の低さがあることは間違いない。
一方、今回のパイロット飲酒問題では、客室乗務員や整備士が機長らの状態に不安を抱き、運航の再考を進言した。その危機意識の高さを経営幹部は見習うべきだろう。
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