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衝撃の「ぽぽちゃん」撤退からもうすぐ2年・・・老舗玩具メーカーの“その後” 社員全員が反対、看板商品を捨てて挑んだ「大プロジェクト」の中身

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2023年9月に生産終了を発表したぽぽちゃん。突然の撤退を決めた裏には、競争が厳しい乳幼児向けの玩具業界ならではの事情があった(撮影:梅谷秀司)

かつて国民的人気を集めた抱き人形の生産終了の知らせから、もうすぐ2年。ロングセラー商品を捨てた玩具メーカーの3年がかりのプロジェクトが今、業界でひそかな注目を集めている。

1977年創業、東京・東日本橋に本社を置く乳幼児向け玩具メーカーのピープル。1996年に発売した「ぽぽちゃん」は累計580万体以上を売り上げ、長らく会社の看板商品でもあった。

ところが2023年9月、同社はぽぽちゃんの生産終了を発表。突然の決断に消費者には驚きが広がり、SNS上などでも話題となった。

代表以外は社員全員が反対

ぽぽちゃんは人気のピークを過ぎたとはいえ、年間数億円を売り上げ、赤字だったわけでもない。撤退の方針を決めたのは、創業者の息子で、2019年から取締役兼代表執行役を務める桐渕真人氏だ。彼1人を除き、撤退には当初、50人程度の社員全員が反対した。

「子供の『好奇心を満たしたい』という本能に根差した"新しいおもちゃ"を作って売ってきたことが、われわれが玩具業界で40年も生き残ってきた理由。厳しい市場で今後も生き残るためには、ぽぽちゃんを維持するために使われていたリソースを、新商品の開発に振り向ける必要があった」。桐渕氏は、決断の背景をそう語る。

ぽぽちゃん撤退を決断した桐渕真人代表。社員を説得するため、1人ひとりと対話を続けたという(撮影:梅谷秀司)

ぽぽちゃんも、子供の好奇心が出発点だった。

子供は2歳頃から、ぬいぐるみを可愛がったりお世話をしたりするようになる。「赤ちゃんへの好奇心の芽生え」と考えた担当者が、その好奇心を発揮する遊びを実現すべく生み出したのがぽぽちゃんだ。

本物の赤ちゃんらしさを追求し、日本人らしいあっさりした顔つき、ぷにぷにした丸い足の裏、2歳の子供が「赤ちゃん」と認識できるサイズ感など細部にこだわった。そうした特徴が子供たちの興味・関心にはまり、たちまち大ヒット商品となった。

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