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キャリア・教育 #リーダーの気くばり

「怒りを相手にぶつける」人が見えていない大問題 「忘れたふりをする」のも大事な気くばりの1つ

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  • 柴田 励司 株式会社IndigoBlue代表取締役
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人間最大の強みの1つが「忘れること」だと思っています。

嫌な思いとかつらい思いは引きずっていると、どんどん沈殿していきます。とくに、人に迷惑をかけたことは、よほどの心臓の持ち主でない限りずっと引きずってしまいますし、また迷惑を受けたほうもそれを繰り返し言ったりすることで、負のスパイラルに陥ってしまいます。

いつまでも双方あるいはどちらか一方が気にしていると、お互い付き合いづらいわけです。心に棘が刺さったようなものです。

「忘れたふり」も気くばり

忘れたふりでもいい。ふりをずっと続けていると、本当に忘れます。

これには私にも苦い経験があります。ある人に自社の経営諮問委員会の委員を頼んだのですが、こちらの都合で3回も日程を変更。とうとう3回目には大変怒られてしまいました。

もちろん、当初快く委員を引き受けてくれた人に対して、欠礼が3回にも及んだことがその人の怒りの原因ですが、そもそも怒りのスイッチが入ってしまった責任は、私にありました。

私が会社の代表としてお願いしたにもかかわらず、日程変更の理由を他責にしてしまったからです。

電話口で4時間ほど怒られました。これはマズイと思い翌早朝、その人のオフィスに出向き謝罪、そこでまた3時間ほど怒られました。最後にはもう「出ていけ」ということで、その人との関係性は切れてしまいました。

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ところが、5〜6年後にその人からいきなり電話がきて、また怒られるのかなとビクビクしながら電話に出たのですが、至って平静で、私がその節は……とお詫びを入れると、「そんなことあったっけ」と。

そのあと、会食しているときも、あの話にはいっさい触れられませんでした。「忘れたふり」をしてくださっているんだなと、以降、その話はしないようにしました。

この一連のことで、その人からすごい気くばりをしていただいたな、と思っています。その人は「自分は本気で相手に向かう、だから相手から本気で返ってこないと、自分も本気は出さない」といつも言っておられます。

本気で接する相手に対して本気の気くばりが“忘れる”ということなんだなと、そう思いました。

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