「怒りを相手にぶつける」人が見えていない大問題 「忘れたふりをする」のも大事な気くばりの1つ

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Uberでお気に入りのカレーと野菜サラダを注文。

20分程度で配達された。ところが、野菜サラダがない。レシートにはしっかり「野菜サラダ」と書いてある……(Uberのお兄さんはすでにどこかへ)。うむむ……。実は配達漏れは2回目。前回はカトラリー系がまるごとありませんでした。お店に電話だ!

「すみません、野菜サラダがなかったんですが! これ2度目ですよ。前回はカトラリーだったからなんとかなりましたが、今回は注文そのものがない。どうなっているんですか。Uberに渡す前に確認してないんですか!」。よくありがちな内容です。

怒ることで生じる負の連鎖

何のための電話でしょうか。文句を言いたいのか、野菜サラダを持ってきてほしいのか。

まあ、その両方ということでしょう。ただ、このような言い方をしてしまうと文句が前面に出てしまいます。当然ながら相手は恐縮します。文句を言っているほうも言いながらさらにヒートアップしてしまいがちです。

この展開、言った側にも言われた側にも嫌な気持ちが残ります。

なんといっても「私は怒っている」というメッセージが強烈に届きます。先方は、これ以上怒られないようにしようという想いが一番前に出てしまいます。

「すみません、いまUberさんが商品持ってきてくれたんですけど、野菜サラダがなかったんです。おつまみセットとかいろいろ頼んだので、うっかりされたんじゃないかと(笑)……野菜サラダ、お願いできます?」

こういう言い方で、とくに途中で笑いを入れながら伝えると、かなり違います。

自然に「申し訳ない」という気持ちが相手に湧いてきます。その気持ちが、自発的なオペレーションの改善やトラブルを起こしてしまった顧客への想いにつながります(実際のケースでは野菜サラダ1つのオーダーでしたが、2つ持ってきてくれました!)。

思ったとおりにことが進まなかったことに腹を立てて、その怒りを相手にぶつけてしまうといいことがありません。

相手は怒られないことが目的となり、オペレーションの改善にはつながりません。配達漏れはその後も起こるでしょう。

これは部下に対する接し方でも同じです。問題行動に対して、ただ怒鳴っても、その怒り方が激しければ激しいほど、怒られないようにしようという想いしか相手に湧きません。

行動改善にはつながりません。おそらく再度同じ問題行動を起こすでしょう。それでさらに怒る、まったく改善されない。悪循環となります。

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