高羽:特に「女子」と入れる点については、かなり慎重に検討しましたよね。はたして「女子」とひとくくりにしていいものだろうか。貧困のために性産業に入った当事者のエピソードが、「女子」という言葉があるために、かえって性的搾取の対象となることに繋がりはしないだろか。かなり逡巡しましたが、それでも「女子」としたのは、日本の社会構造は、まだまだ女性にとって不利にできていると感じているからです。
少しでも「当事者意識」をもってもらえたら
青木:タイトルは「きっかけづくり」なんですよね。視聴者を引き付けられれば何でもいい――というのは少し言い過ぎかもしれませんが、問題は、いかにタイトルでスルーされず中身にまでリードできるか。「女子」と謳ったこのドラマを見て「これは特殊事情を抱えた一部の『かわいそうな女の子たち』の話ではない」と気づく入り口に立ってもらうことが大事なんだと。
高羽:実は、男性もまた、いつ貧困を生む社会構造の犠牲になるかわからない。女性も、男性も、明日の自分かもしれないと実感したら、そこで自己保身に走るのではなく、さらに一歩踏み込んで考えてみていただきたいですね。
青木:本当にそう思います。「ひょっとしたら、自分の身近な場所にも似たような状況に陥っている人がいるかもしれない」「いま困っている人たちに、自分から手を差し伸べられるかもしれない」「もし自分自身が困ったら、誰かから手を差し伸べてもらえるかもしれない」などとさまざまに考えてみる。
こうした意識が生まれることが、やがては社会をよりよくする一歩、二歩に繋がっていくんだと思います。「知らないこと」について考えることはできません。とにかく本作をきっかけに、「実はこんなことになっている」という現実を知っていただければと思います。
高羽:「貧困は個人の問題じゃない」――これは﨑田のセリフなのですが、個人の問題じゃないのなら、自分たちが「当事者」としてコミットして社会を変えていくことはできると信じたいですね。そんな方向に、このドラマを見た人たち、昨日までは「貧困なんて他人事だと思っていた」人たちの明日からの意識や行動が、少しでも転換するきっかけになれたらと願っています。
*この記事の前編:趣里の迫真演技が伝える「貧困に喘ぐ女性の現実」
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