遠藤 また、不登校など、長期間学校に行けない子どもたちが増えているという現実からも、従来どおりの学校のやり方を続けていくのが難しくなっています。いままで以上に、ひとりひとりに合った教育をしていかないといけない。
ここまではずっと言われてきたことです。最近の大きな変化は、技術的にもそれが可能になってきたということです。昔は生活や人生に必要なことは学校教育でしか得られない時代でしたが、いまはオンラインや民間のフリースクールなどでも教育を受けられるようになっています。
もちろん、既存の学校教育になじまない人は全員そちらで学べばいい、という単純な話ではありません。やはり公教育の理念と責任として、すべての子どもにそれぞれに合った教育を提供していく必要があります。
社会の変化に応じるということと、ひとりの子どもも取り残さないということ。この両面があるだろうと思いながら日々の仕事に取り組んでいます。
学校で教えられるべきこと
宮田 10月初旬にタイの首都バンコクで開かれた2日間の教育イベントに参加してきました。そこで、教育環境が十分でないある国の大多数の子どもはYouTubeで学んでいるという話を聞きました。
インターネットがあればYouTubeで世界中の優れた教育にアクセスできます。そんな状況では、身近にある学校がベストの教育機関ということもない。ネットを使えば、学位を取るのに必要な時間も少なく、学位を持つという承認も、ブロックチェーンの技術を使ってできます。
一方で、義務教育の小学校なら、6年間という定められた期間を通して教えていくことの難しさがあります。
環境は変わっているし、中の制度も疲労していて、さらに「誰ひとり取り残さない」となると、パブリック(公)として社会を支えていくのが非常に難しくなっているように思いますが、いかがでしょうか。