「家で悪態をつく子」に疲れ果てた親に伝えたい事 「私が毒親に育てられたから?」と悩む母親

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このような子は、自分のことを「メタ認知」できる傾向にあり、学力が下がってきたり、習い事のパフォーマンスが落ちてきたりしら、自分で修正をかけてきます。もし自分でそれができないときは、親がサポートをしてあげますが、指示・命令・脅迫・説得という手段では行いません。あくまでも子どもの意見を聞きながら、親のアドバイスをしていく感じでされてみてください。すると、この子は、今よりさらに力を発揮していくと思います。

(3)親が毒親に育てられた影響の解釈を変える

毒親という言葉は1989年にアメリカの専門家が使用したtoxic parents(有毒な親)の訳語として当てはめられた言葉のようで、実態としては「過干渉」「暴言・暴力」「親優先のネグレクト」とされています。この毒親は連鎖していくのかどうかは、さまざまなケースや解釈があると思われますが、少なくとも岩井さんは、ご自身の両親が毒親であったと認識されているので、次のように考えてみるのはいかがでしょうか。

「岩井さんの親も、そのまた親も毒親的なあり方で続いてきたけども、皆自分が毒親をやっていたとは思っていませんでした。そのため、連鎖していき、現在に至りました。でも岩井さんはそれを認識しました。認識したため、ここで先祖代々続いてきた連鎖はストップします。これまで代々無意識に続いてきたことが、岩井さんの認識によって中断することができます」

遺伝的に継承しているとか、自分が育った環境の影響とか、学問的にはさまざまな知見があります。しかし、それらは可能性の問題であって、必ずそうなるとは言い切れません。これまで1万人を超える親御さんとの相談の中でも、変わる人と変わらない人がいました。その違いは何かと言いますと、「自分のことを客観的に見ることができるかどうか」です。つまり自己認識です。岩井さんは、すでにそれができているため、これまで毒親に育てられたことが影響しているのではと考えることは一旦終了させ、自分の代から新しい親のスタイルが始まると考えてみてください。

以上3つのポイントについてお話しました。子育ては親の思うとおりにいくほうが少ないです。その子に適した対応をすることを心がけると、子どもはぐんぐん伸びていきます。筆者の音声配信「Voicy」でも1000回以上にわたり、毎日、子育て・教育相談を配信しています。

何か1つでもヒントになれば幸いです。

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石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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