主要各社の3月期決算における連結業績を並べてみよう。
営業利益率1.19%は確かに低いものの、他の有力な競合も1~2%台。ヤマダ電機が突出して悪いとも言い切れない。消費増税後の需要減退に加え、そもそも少子高齢化によって日本国内の需要が縮小していっている。それに加えてジワジワ効いてきているのが、ネット通販の台頭という競争環境の変化だ。それはここ日本だけの話ではない。
米国では家電量販2位が経営破綻
今年2月、米国家電量販店2位のラジオシャックが経営破綻した。ディスカウント店との競争激化に加えて、ネット通販の攻勢は要因の一つだった。大量の店舗と従業員を抱えるラジオシャックは、その固定費が重荷となり価格競争力を落とし、消え去った。米国と同じ現象が、少し間を置いて日本で起きた例は枚挙にいとまがない。だとすれば、近い将来、日本でもラジオシャックのような事例が起きないとも限らない。それほど、日本の家電業界は厳しい状況に置かれつつある。
ネットで売れる商品のうち、ベスト2は本と家電といわれる。日本の出版業界ではリアルな書店にその影響が顕著だ。日本著者販促センターによれば、1999年に2万2296店あった書店は2014年5月には1万3943店まで縮小した。過去15年でほぼ半減している。
「ショールーミング化」という言葉がある。リアル店舗で見たり試用したりした消費者が、最後にネットで購入してしまう。つまり、リアル店舗がネット業者のショールームに成り下がっていることを指摘するものだ。特に近年はいつでもどこでもネットにつながるスマートフォンの普及によって、リアル店舗で確認したあと、安価なネットに注文する流れが一般化した。
この流れを止めるのは容易ではなさそうだ。ヤマダ電機は2011年3月期には売上高2兆1532億円、営業利益1227億円を誇ったものの、それを再び超えるような成長はだんだん望めなくなってきている。
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