ヤマダ電機は、もう成長を望めないのか 46店閉鎖の真因とその先に見える展望

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この状況で、ヤマダ電機は競争力を高められるのか。実を刈り取れるかどうかは別にすると、種は大きく3つある。

まずは、訪日外国人の需要取り込みだ。

家電量販業界では、ラオックスが今春採用した100人を超える新入社員のうち、8割程度を中国国籍の人材として、海外から日本に訪れる「インバウンド」の対応に大きく舵を切った。対抗するヤマダ電機はこの春、東京・新橋の「LABIアメニティー&TAXFREE」に免税専門店を開業し、化粧品の品ぞろえを拡充した。

昨今の家電量販店は、どこでも家電以外の販売が多く、雑貨屋と見間違うほどだ。とくにヤマダ電機のLABIアメニティー&TAXFREEは、外国人旅行者に狙いをすまして、雑貨、化粧品、日本土産がふんだん。化粧品サイト「アットコスメ」とのコラボや、3階にあるブランド買い取り店「ブランドオフ」も特徴だ。

訪日外国人は2013年に初めて1000万人の大台を突破、円安の進行もあって2014年には1300万人超まで増えた。政府は2020年の目標として2000万人を掲げ、関連業界が動いており、日本を訪れた外国人、とくに富裕層が落としていくおカネをどう獲得していくかは、ヤマダ電機にとってもテーマとなる。

シニア需要も狙い目

次に、相対的に裕福なシニア(高齢者)需要の取り込みだ。ヤマダ電機が今回、地方の一部店舗をリストラクチャリングするからといって、それは必ずしも地方を切り捨てたことにはならない。この施策は家電量販店のターゲットシフトを鮮明に示す事例となるだろう。ヤマダ電機には今後、地方に「すでにいる」人たちを使って、高齢者向けサービスなどを強化する流れがありえる。

ヤマダ電機は、名古屋に本社を置き、地域密着型の電器店など小売店と密接な関係を構築している「コスモスベリーズ」を傘下に持つ。このコスモスベリーズは、地域密着型の小売店舗と密接な関係を特徴としている。コスモスベリーズは、地方の小売店(電器店等)を通じてヤマダ電機商品を訪問販売していく。

ここで家電量販店各社がこのところ進めていた”何でも屋”戦略が功を奏する。家電量販店は多様な商品を取り揃える。トイレットペーパーに医薬品、食品に酒類、お菓子にいたるまで、高齢者の必要なものを取り扱っている。

アマゾンやネット通販各社は、利便性と効率性を差別化ポイントとし台頭してきたが、ヤマダ電機とその地域連合は、ドブ板さながらリアル”つながり”で対抗するのだ。また、ヤマダ電機のウェブサービスで扱っているものを、そのまま販売でき、初期投資もさほど必要ではない。この構想に賛同する地域の小売店は、ヤマダ電機の在庫を使うことができるので、そこから配送すれば、大きな投資や負担もない。

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