イオンは、なぜここまで苦戦しているのか 見落とされている2つの理由

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イオンモールナゴヤドーム前店

国内最大の流通グループ、イオンの不調が目立っている。3月下旬に最新決算となる2015年2月期の業績予想を下方修正。連結純利益は350億円と前年の456億円から23%も減益となる見込みだ。それまでは480億円と増益を予想していたが、これで純益が落ち込むのは2期連続。営業減益は3期連続で、市場からは驚きの声が上がった。

イオンはもともと「アジアシフト」「シニアシフト」「都市シフト」「デジタルシフト」という4つのシフトを経営戦略として掲げていた。2015年初に株式交換でダイエーを完全子会社化したのも、その方針に沿ったものだった。

再建から成長……のはずが

ダイエーグループは店舗の実に9割が首都圏と京阪神に存在している。イオンはダイエーに「都市シフト」の一翼を任せ、かつ「シニアシフト」もダイエーの主要顧客層を取り込み加速するつもりだった。イオンはダイエーを飲み込み、シナジー効果を狙った。ダイエーとしても、再建から成長へとキーワードを掲げ、復活の狼煙をあげようとしていた。

もちろん、イオンがダイエーを子会社化した結果を評価するには時期尚早かもしれない。本決算の詳細を待たねばならないが、事実としては第3四半期(2014年3~11月)までの状況を見てみると、ダイエーは営業赤字だったし、シナジー効果どころかイオンリテールなどの総合スーパー事業全体で289億円の赤字だった。これは、前年度65億円の黒字から見ても、停滞感がにじむ。

もちろん、イオンも数々の施策を行った。ダイエーと一緒になり、消費増税後の落ち込みをカバーしようと、約100品目を値下げし訴求力を高めようとした。さらには、イオン本体でも、「イオン得するタブレット」を実質無料で配布。イオンでひと月あたり一定額(5万円)以上を消費すれば、タブレット使用料相当額のポイントが還元できるようにした。タブレットをお客に持たせれば、そのタブレット経由で購入した商品履歴を把握できるし、なによりネット広告を届けることができる。ダイレクトメールのコスト削減もできる。

だが、それらの施策も衣料品や食品などの落ち込みをカバーするには至らなかった。

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