三菱電機が打破狙う「縦割り内向き」の組織風土 「事業本部」を横断運用し経営資源を最適に配分
「製作所・工場あって、会社なし」。現場の多くの従業員が強く意識し、帰属意識を持っているのは、製作所や工場であり、会社そのものに対する帰属意識は希薄――。
三菱電機が起こした品質検査不正で外部調査委員会の最終報告が公表されてから、2023年10月で1年経った。国内の複数の製造拠点で不正が横行していた原因として、調査委が指摘したのは拠点単位、事業本部単位という閉鎖的で内向きな組織風土。その風土を変えるべく、同社は動いている。
一例が今年9月に立ち上がった「パーパスプロジェクト」だ。国内外のグループ約15万人の従業員それぞれが自分自身のパーパス(社会的な存在価値)を考える。同社の企業理念と自身のパーパスとの重なりなどを見いだしてもらう狙いもある。調査委が評した「会社なし」を変える一助になりそうだ。
課題だった「横通しの力」と人材の流動性
このパーパスプロジェクトが漆間啓社長の発案であるように、品質検査不正が経営陣に組織風土改革の必要性を痛感させたのは確かだ。ただそれ以前から、事業の成長をも左右する問題であるとの認識を持っていたという。
「元々は事業本部それぞれのビジネスを強くするという姿勢だったが、数年前からそれではダメという議論が始まった」
FA(ファクトリーオートメーション)システム事業や自動車機器事業を担当する加賀邦彦専務は、そう振り返る。
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