駐在員が証言、米国で働く日本人の「悲しい現実」 日本人相手の商売だと米国でも稼ぎは少ない…

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私の場合は、社員になって月収はインターン時代の倍になり、ようやく日本の大卒初任給程度になりました。底辺の海外駐在員ではございますが、人間としてまともな生活ができるようになっただけで、大きな進歩でした。

さて、ロサンゼルス支店に人員補充ができ、私もロサンゼルス生活に慣れてきた頃、新たなプロジェクトが動き出しておりました。

東の拠点、ニューヨークに支店を置くことに

ラスベガス、ロサンゼルス、サンフランシスコに支店があり、西海岸にしか拠点がなかった当社ですが、やはり東にも拠点がほしいということで、ニューヨークに支店を置くことになったのでございます。

誰かがニューヨークへ行き、支店の立ち上げ業務を行わなければなりません。社内の偉い方々が話し合った結果、どういうわけか、私が行くことになりました。

インターン1年、正社員になりわずか4カ月。旅行業を経験し始めて1年ちょっとの人間を単身ニューヨークに駐在させるというのは、普通ではございません。

なぜこういうことになったのかと言いますと、私以外の会社同僚の皆さんは家族がいて家を持っているので、なかなか動けない。唯一動けそうなのは独身の私だけ。つまり、抜擢された!のではなく、消去法で選ばれたのでございます。

インターン時代にラスベガスからロサンゼルスへの異動話が下りてきたのも、異動予定日のたった2週間前でしたが、ニューヨーク異動の話が私に下りてきたのも予定日の1カ月前でした。

ニューヨークへ行くとなれば現地でアパートを探し、ロサンゼルスで使っている車を売ったりと事前準備をしたいところですが、会社はよほど私がアドリブの利く奴だと思っているようでした。

『底辺駐在員がアメリカで学んだギリギリ消耗しない生き方』(KADOKAWA)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

独身でキャンピングカー暮らしかつ、家財道具がほとんどないので引っ越し方法は古典的。仕事の都合もあり引っ越し業者を一切使わず、片道飛行機で6時間かかるロサンゼルスとニューヨークを毎週往復、トータル4往復もして荷物や会社の備品を運びました。

2017年12月、かくして私はニューヨーク勤務となりました。

私はいつかのYouTube動画の中で、アメリカの州や都市にはそれぞれ住民の呼び名があり、ネバダ州の人は「ネバダン」、カリフォルニアの人は「カリフォルニアン」などと紹介いたしましたが、ニューヨークの人は言わずと知れた「ニューヨーカー」。

洗練された響きがしますが、洗練を求めたことのない私にとって、この大都会で暮らすのはなかなか大変でございました。

US生活&旅行 在米10年目のアラフォー駐在員

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ゆーえすせいかつ あんど りょこう)

在米10年目のアラフォー駐在員。フロリダ州、ネバダ州、カリフォルニア州、ニューヨーク州を転々とし、コロナ禍でリストラを経験。失業時にYouTubeチャンネル「US生活&旅行」がブレイク。マイルを使って飛行機のファーストクラスに搭乗した様子の動画は280万回再生を突破(2023年10月時点)。

YouTube:@us_lifeandtravel

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